富士経済は,内装の高級感の演出や昼夜で異なるデザインの実現,音楽と連携した照明,また,運転時の注意喚起など,自動車の高付加価値化に貢献し,機能性が付与できることから注目されている,自動車用アンビエントライトの世界市場を調査し,その結果を「自動車用アンビエントライトの将来展望と高機能化動向」にまとめた(ニュースリリース)。
この調査では,自動車用アンビエントライト市場の現状を把握し,将来を予想するとともに,その価格動向,高機能化の方向性などを整理した。
それによると,アンビエントライトは,ダッシュボード下部から前席,後席のドアトリム,センターコンソールなどに設置される間接照明装置を対象とし,RGB-LEDモジュール(マイコンやワイヤハーネスを実装)を導光管に組み付けたライン状ランプなどをライトユニットと捉え,それらのメーカー出荷額により,市場を算出した。
マルチカラーのライン状タイプや, LEDパッケージに拡散レンズを装着し照射部位を面発光させるタイプが多く使用されており,自動車内装の高級感や先進性を高め,室内の快適性向上を開発テーマとする高級車を中心に需要が増えている。近年は音楽と連携して車内照明を変化させるなどの機能性を付加した製品の採用が増えているという。
ボリュームゾーンの製品は,安価なLEDや導光管で構成されるため付加価値化が難しく, また,中国やインドのランプメーカーが低価格製品を展開しているため,価格は下落傾向にある。それにより,今後は大衆車での採用が増えるとみられ,市場拡大と予想する。
現状,欧州と中国が需要の中心である。欧州ではドイツの高級車を中心にガラスルーフやコンソールへの搭載率が高く,車両1台当たりの搭載が多いことから,最大の需要エリアとなっている。
中国ではEVに先進性が求められており,アンビエントライトの搭載によりスマート感が付与できるため,採用が増加している。EVの普及や「派手好き」な国民性も追い風となり,需要増加を予想する。
欧州や中国と比べると米国では搭載が進んでいないが,Teslaがアンビエントライトの採用に積極的であり,Teslaユーザーが多い都市部での需要増加が期待されるとしている。
日本では現状,「LEXUS」(トヨタ自動車)向けが中心だが,日本自動車メーカーはアンビエントライトを活用した自動車の付加価値化に積極的であるため,今後は多くの車種で採用が増えるとみられるという。
照明のカラーバリエーションにより,車線逸脱注意喚起は黄色,前方注意や接近注意喚起は赤色に明滅するなどの様々な活用が進んでいる。
欧米自動車メーカーの車種では250色を超えるマルチカラーがみられるというが,ユーザーニーズに必ずしも合致しないため,現実的には5~64色のマルチカラーの需要増を予想している。