岐阜大学の研究グループは,大規模視覚言語AIを基に,少ないデータから高度な判定を行なう汎用外観検査AIを開発した(ニュースリリース)。
あらゆる製品の生産現場においては,製品品質の確保と生産効率の向上が求められている。しかし,従来のAI自動検査方法では個々の製品に特化したデータが多量に必要で,AIの導入が難しい状況だった。また,AIによる外観検査では,判断根拠がわからないという説明性の問題がありった。
一方,生成AIをはじめ,近年のAI技術の発展で,言語と画像を高度に理解し,広い一般知識を持ったAIが登場した。しかし,これらは外観検査という特殊な知識は持っていなかった。そこで,大量の外観検査画像とその説明文を学習したAIを開発した。
さらに,In-Context Learning(少数の例から学習を行ない,未知のデータに対して推論を行なう手法)を用いて,少ない例示だけで検査対象に特化した知識を付加することに成功した。
また,大規模Vision and Languageモデル(大規模言語モデル(自然言語認識)と画像認識モデルを持ったAI)を用いたことで,不良と判定した理由を言語として出力することが可能となった。これにより,AI外観検査における説明性の問題は大きく改善されたという。
現在は,特定の検査に限ってこの研究の有効性が確認されている。研究グループは今後,さらに大量のデータで学習し,モデルの改良による精度向上や汎用化,より複雑な例示を可能とするよう改良を行なっていく。これにより,手軽に,短時間で高精度な外観検査システムを構築できるようになるとしている。