浜松ホトニクスは,光電子増倍管(Photomultiplier Tube:PMT)の知見と光学設計技術を応用し,薄型ながらも集光効率の高い新開発の集光レンズを取り付けることで,従来と同等の小型サイズながら感度を約5倍まで高めたレンズ付きフォトンカウンティングヘッド「H10682-110W」を開発した(ニュースリリース)。
今回,自由曲面を用いた光学設計技術を応用するとともに,同分野において高い技術力を持つベルギー ブリュッセル自由大学と協力し,特殊な形状の内部全反射型レンズを新たに開発した。
一般的なレンズは入射した光の屈折を利用し集光するが,このレンズは入射した光の屈折・反射・全反射を利用し集光する。また,レンズ中央部と周辺部とで別の光路による集光が可能。これらにより,薄型ながらも高い効率で集光することができるという。
さらに,検出効率を高めるため,PMTの形状や特性に合わせてレンズの形状を最適化した。このレンズは,平行光のみならず集光が難しい拡散光に対しても高い集光効果を発揮する。この結果,従来と同等のサイズながら感度を約5倍まで高めたレンズ付きフォトンカウンティングヘッドの開発に成功したとする。
血液検査で使用される化学発光免疫測定装置などの小型の検体検査装置にこの製品を組み込み,装置の感度を高めることで,受診者から採取する血液をはじめとする検体の量を減らしながらも,従来と同等の精度で測定することができ,受診者の負担を軽減や,測定時間の短縮も見込まれることから、医療従事者の負担軽減も期待できるという。
新たに開発したレンズは,光検出器の小型化と高感度化の両立が求められる分析や医療,通信,半導体などのさまざまな分野での応用が期待される。
同社では今後,この製品の拡販を進めるとともに,受光面の口径が異なるさまざまなレンズ付きフォトンカウンティングヘッドを開発し,市場からの要求に対応していくとしている。