古河電気工業は,日亜化学工業と新たな青色レーザーダイオードモジュール(LDM)を開発し,これを搭載した発振器をBlue-IRハイブリッドレーザー発振器「BRACE」シリーズのラインナップに加え,2024年1月より販売を開始すると発表した(ニュースリリース)。
モビリティの電動化が加速するなか,電動車の主要部品である電動アクスルや電池などで多用される銅材料の溶接工程において,生産効率向上に貢献するレーザー加工技術が求められている。
同社はBlue-IRハイブリッドレーザー発振器「BRACE X」を2022年1月に販売開始し,同年11月には,自動車産業の集積地である愛知県内にこの製品を設置したレーザーアプリケーションラボ「CALL」を開設した。パートナーと共創を進めるなか,xEV向け部品の将来的な量産を見越して,新しいレーザー加工技術に対する要望が高まっていたという。
今回両社は,従来比で2倍の出力500W(コア径110μm)以上となる新たな青色レーザーダイオードモジュール(LDM)を共同開発した。
「BR2200」は,従来製品比で青色レーザーが約2倍の出力となり,IRレーザー発振器(出力6000W)との組み合わせにより,銅板の溶接で課題となっていたスパッタやブローホールなどの加工欠陥の抑制,深い溶け込みによる高品質な加工を進化,業界最高水準の5mm厚の銅のスパッタレス加工を実現するという。
「BR0400」は,ファイバコア径110μmの光ファイバからの青色レーザー出力が400Wと世界最高水準の高エネルギー密度を有している。青色レーザーは,樹脂に対して光吸収率が近赤外(IR)ファイバレーザーよりも高いことから銅線の被膜除去に最適で,今回の高エネルギー密度化により,業界初となる青色レーザーによる巻線被膜の高速かつ残渣のない除去を実現するとしている。