2045年,運転支援機能搭載車は1億1,843万台

富士キメラ総研は,100年に一度の変革期に直面しているといわれる自動車業界において,今後必要不可欠となり重要性が増すとみられる注目技術の市場やその方向性について調査し,その結果を「2023 次世代カーテクノロジーの本命予測」にまとめた(ニュースリリース)。

この調査では,現在の自動運転や環境対応に欠かせない自動車搭載技術43品目,実用化に向けて取り組まれている次世代技術8品目,次世代車両づくり技術5品目の市場について現状を調査し,将来を予想することで,自動車関連技術の最先端動向を整理した。

ここで注目したADASは,AEB(衝突被害軽減ブレーキ)やACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)などの走行支援機能を搭載し,SAE自動運転レベル1~2に相当する車両の新車生産台数,自動運転は,センシングカメラ,長距離レーダー,短中距離レーダー,LIDAR,高精度位置センサー,HDマップなどで構成されたシステムを搭載し,ドライバーに代わり車両の運転操作を行なうSAE自動運転レベル3~5に相当する車両の新車生産台数を対象とした。

ADASは,AEBの搭載義務化が後押しし,堅調な伸びがみられる。また,機能拡張が進んでいることからシステム単価が上昇しているという。

2030年前後からは欧州や北米,日本では縮小するとしているが,2040年頃までは新興国の需要により市場拡大を予想した。以降,需要は減少し,2045年の市場は8,463万台と予測する。

自動運転は,複数の大手自動車メーカーが本格参入を開始していることから,2023年は高い伸びと予想する。ステレオカメラや3眼カメラ,LIDAR,高演算ECUなど高価なデバイスが複数必要となるため,システム価格は高額となるという。

現状,特にLIDARは高価なため採用に慎重なメーカーもあるが,低価格製品の開発が活発化しており,徐々に搭載が増えると予想する。エリア別では欧州や北米が先行しているが,中国は自動運転専用のモデル地区設置などが積極的に行なわれており,2045年には最も搭載率の高いエリアになるという。

ロボットタクシーは,自動運転レベル4以上の自動運転技術を搭載した,商用で乗客を目的地に自動運転で運ぶサービスを行なうタクシー車両の新車生産台数を対象とする。

ユーザーの乗車依頼により自動的に配車される。法規制が絡むため,実用化に関しては各国政府が慎重な姿勢を示している。

2023年の市場は,米国での限定的なサービスや中国で実証実験地域の拡大などが進められていることから,セーフティドライバー付き商用サービスや実証実験向けで数百台程度が見込まれるとしている。今後,世界各地でセーフティドライバーなしの本格サービスを視野に入れた検証が重ねられ,まずは欧州や中国,北米などで,国・エリアの規制範囲内で商用サービスが開始されるという。

今後,欧州では,ゼロエミッションを実現するための積極的な展開が期待されるとしている。中国では,各都市の地元当局の許可を受けた限定的なロボットタクシーの走行が認められており,販売台数は増加し始めている。日本でも2023年4月に改正された道路交通法により,自動運転レベル4搭載車の公道走行が可能となったことから,2025年以降の本格展開が期待されるという。

センシング技術は,センシングカメラ,長距離レーダー,短中距離レーダー,LIDARを対象とした。センシングカメラは,検知や識別能力が高いことから,フロント検知用での採用が進んでいる。特に,AEBの搭載義務化が採用増加を後押ししている。対象物の識別が可能であるため,今後は自動運転のベースとなるセンサーとして搭載が進むとみる。

長距離・短中距離レーダーは対象物との位置関係の測定のみに機能が限られるため,運転支援の高機能化に伴って単体での搭載は減少するが,センシングカメラとの併載などサブセンサーの位置付けで搭載が進むとみている。

LiDARは,対象物を三次元的に捉えられる高精度センサーであり,自動運転に必須のセンサーとして位置付けられるが,現状は製品価格が高価な点が課題だという。2030年以降に自動運転の普及と製品価格の低下によって採用が加速すると予想する。

2035年以降,センシングカメラ,長距離・短中距離レーダーは90%以上の生産車両に搭載されるとみる。LiDARは価格面が課題だが,自動運転のキーデバイスであるため,2045年の新車搭載率は30%に近づくと予想する。

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