2029年,センサーデバイス関連市場は12兆1,860億円

富士キメラ総研は,小型化,低消費電力化の進展により導入・設置ハードルが低下し,リモート化や自動化の分野で採用が増加しているセンサーデバイスと関連製品を調査し,その結果を「2023 センサーデバイス関連市場総調査」にまとめた(ニュースリリース)。

この調査では,各種センサーの用途別の市場や技術,メーカーなどの最新動向を調査し将来を展望した。またセンサーの導入に向けた課題や,通信やバッテリーなど関連製品の市場もまとめた。

それによると,センサーデバイス/関連製品の世界市場は,スマートフォン向けが市場をけん引してきたが,スマートフォン市場の飽和により,今後は市場構造が変化すると予想する。

自動車(自動運転車)やXR機器(スマートグラスやヘッドマウントディスプレーなどのVR,AR,MR機器)向け,IoT導入が進む産業分野向けが伸び,市場は成長が続くと予想する。

特に自動車とXR機器は市場の拡大に加え,台当たりのセンサーの搭載員数や種類が増加していることから市場をけん引していくとみられるという。

光・電磁波は,これまではスマートフォン向けの成長が市場をけん引してきたが,今後は自動車向けやXR機器向けが増加すると予想する。自動車では自動運転車のキーデバイスとされる3D LiDARが注目され,自動運転車普及に向けた開発が進むことで中長期的に市場が形成されていくとみられるとしている。

XR機器では,エリアイメージセンサー(グローバルシャッター)で,現在の主な用途であるジェスチャー入力に加え,アイトラッキング用途での需要増加が期待されるという。

音波・磁気は,MEMSマイクロフォンや磁気センサーがスマートフォンで多く採用されているが,今後は他のアプリケーションへの採用が進むとみる。

超音波センサーは,自動車ではセンシング機能の向上を目指して搭載員数増加が予想されるほか,XR機器やウェアラブルデバイス向けの需要増加,スマートホームや家電への採用も期待されるとしている。

機械・物理は,二次電池の製造工程などで用いられる変位センサーや,スマートフォン向けが主体の加速度・角速度センサーの市場が大きい。

今後はEV市場の拡大に伴う二次電池需要の増加により変位センサーの需要増や,インフラモニタリング向けの光ファイバーセンサーの採用拡大が期待される。また,感圧センサーは,医療・介護分野でベッドの離床センサーとしての利用増加を予想する。

環境は,自動車のエアフローメーターに用いる流量センサーや,民生品のタンク管理,FA(ファクトリーオートメーション)向けタンク内の材料管理などに用いるレベルセンサーなどがある。

これらの用途で需要があることに加え,今後はエネルギー関連のインフラ管理向けの伸びが予想される。また2020年代中盤以降はFCV市場の立ち上がりに伴って車載水素センサーの急速な拡大も期待されるという。

通信・その他デバイスは,各種センサーの伸びに伴って,センサーネットワークを構築する無線通信デバイスや電源となるバッテリーデバイスの市場が堅調に拡大している。

今後は省人化や遠隔監視に向けたネットワーク構築が進むと考えられ,特にチップコストや通信コストの安価なUnlicensed LPWA やネットワーク構築コストを抑えられる衛星通信の市場が大きく拡大するとみている。

ここでは光関連市場として,光ファイバーセンサー(インテロゲーター)とLiDAR(2D/3D)に注目した。

このうち光ファイバーセンサーは,FBG(Fiber Bragg Grating)を使用したスポット型と,分布型などの光ファイバーセンシングを行なう計測器(インテロゲーター)を対象とした。ひずみゲージなどを用いた,ひずみ,圧力,温度,変位,加速度などの計測の代替利用が検討されるケースが多い。

インフラ用途では耐環境性(耐さび,耐落雷,防爆としての絶縁性など),セキュリティ用途では耐妨害電波や多点同時センシングなどの用途で一部採用されている。

常時モニタリング用の組み込み設置と一時的な計測需要に対応したレンタルでの利用もみられる。レンタル利用はセンサー用のファイバーのみを設置しておき,定期検査の際にファイバーに接続する計測機器をレンタルして利用する。製品が高価格であることからユーザーの負担が少ないレンタル利用が増加していくとみている。

国内では,大手ゼネコンで建造物建設時にファイバーを埋め込み、建造物の価値モニタリング用途や,建設手法のブラッシュアップに使用しようとする動きがみられるといい,市場は拡大を予想する。

LiDAR(2D/3D)は,水平方向のみのスキャンを行う2D LiDARに加え,垂直方向もスキャンして空間を認識する3D LiDARも対象とした。なお,一部のロボット掃除機メーカーが内製し,自社製品に搭載しているものは対象外とした。

近年は半導体不足や樹脂材料の納期遅延により製品の開発・生産に影響が出ていたが,製造工場のAGV(無人搬送車)や半導体搬送向けOHT(Overhead Hoist Transport)での採用が好調であること,特にコロナ禍以降のEC需要の拡大に伴う物流センター向けの伸びなどを背景に市場は堅調を維持したという。

2023年時点では障害物の検知を目的として,主にAGV/OHTに2D LiDARが採用されている。自動車向けでは3D LiDARが自動運転車のキーデバイスとして注目されているが,自動運転の普及遅延のためまだ実績は小さい。将来的には自動運転レベル4/レベル5対応車両の普及により,3D LiDARの伸びが市場をけん引していくと予想している。

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