横国大ら,発光トビムシの正体を世界で初めて解明

著者: 梅村 舞香

横浜国立大学,多摩六都科学館,名古屋大学,中部大学は,300年以上謎だった発光トビムシの正体を世界で初めて突き止めた(ニュースリリース)。

トビムシは体長数ミリメートルの節足動物で,陸上の発光節足動物としては世界最小。トビムシ類の中に光る種がいることは古くから言われていたが,種が特定されていないか,本当に光るのか再確認されていないかで,その正体は不確かだった。

そのなかで,刺激を受けて光る日本産の赤いトビムシは,発光することが世界で唯一写真に収められており,発光生物学の新たな材料として期待されていた。しかし,種を特定する手掛かりとなるDNAバーコードは得られていたものの,分類学的な混乱により種名の決定には至っていなかった。

研究グループは,発光トビムシとDNAバーコードが一致する種を見つけ出し,その形態的特徴からザウテルアカイボトビムシであることを突き止めた。加えて,トビムシが発光する様子の動画撮影に世界で初めて成功し,ザウテルアカイボトビムシが緑色に光るということを科学的に確かめた。

また,独自に考案した方法で,東京都~沖縄県で採集された計12種の発光能を試験し,既知種の中から新たに3種,計4種の発光トビムシが日本にいることを発見した。トビムシは刺激を受けて光ることがわかっていたが,再現可能な刺激の与え方は知られていなかった。

今回,音響装置を用い,誰でも同じように刺激を与える方法を考案し,一定の精度で発光能を評価できるようにした。再現可能な方法でトビムシの発光能が評価されたのは世界で初めて。

その成果として,アミメイボトビムシ属にも発光種がいることを発見した。日本のアミメイボトビムシ属のすべての既知種について発光能を試験した結果,チビアミメイボトビムシ,オレンジイボトビムシは発光しなかった。

しかし,アミメイボトビムシ属の一種とクニガミイボトビムシは発光することがわかった。アミメイボトビムシ属はザウテルアカイボトビムシとは別系統であり,アミメイボトビムシ属に発光種が存在するという報告は世界で初めて。

この研究は,発光トビムシの種が何であるか正確に把握できるようにしたとともに,再現可能な方法で発光能を評価し,複数の系統に発光種がみられること,さらに,発光種と非発光種を含む属が存在することを,世界に先駆けて解明した。

トビムシは昆虫とは別系統で昆虫よりも古くから地球上に出現し,ホタルとは独立に発光能を獲得したと考えられる。研究グループは,そのため,トビムシは,発光生物の多様性や起源を解明するための研究材料になるとしている。

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