富山大,糖尿病合併症検知にホタルイカ発光を応用

富山大学の研究グループは,ホタルイカの発光に必要なルシフェリンという化合物が,アルブミンと結合して発光するという現象を発見し,ホタルイカルシフェリンを用いて尿中アルブミンを定量することに成功した(ニュースリリース)。

ホタルイカの発光メカニズムは,ホタルイカが持つルシフェラーゼという蛋白質と,ルシフェリンという低分子が反応することによるが,ルシフェラーゼ蛋白質はいまだ単離に成功していない。

研究グループは,ホタルイカのルシフェリンが,ルシフェラーゼ以外にも血液中の蛋白質であるアルブミンと反応し発光を呈するという予想外の現象を偶然発見した。研究では,その反応を利用して尿中のアルブミン濃度の測定への応用を試みた。

糖尿病の合併症として高頻度に見られる糖尿病腎症は,初期の段階では無症状なため患者は進行に気づきにくいが,その進行を検知できる指標の一つとして尿中のアルブミン濃度の上昇がある。アルブミンは血中に存在する蛋白質だが,初期の腎症の尿中には微量のアルブミンが漏出していることが知られており,その時期に適切な治療を行なうことが重要となる。

今回ホタルイカルシフェリンを用いて,尿中アルブミンを定量する可能性を調査し,ホタルイカルシフェリンとヒトアルブミンが反応して発光を呈するということを発見した。この反応はTris緩衝液中で非常に広い範囲で比例関係を示すこともわかった。このことは発光強度を計測すれば,溶液中のアルブミンの濃度を計測できることを意味する。

同時にルシフェリンとアルブミンの反応で発せられる光は,ホタルイカで見られる青色の光ではなく,550nm付近の波長をピークとする緑色の光であることも分かった。この発光現象を尿中アルブミンの濃度測定に利用しようと試みたが,尿中の夾雑物が反応を阻害することが分かり,その問題を解決することが必要となった。

研究グループは,尿中の蛋白質を沈殿させることで夾雑物を除去できるのではないかと考え,数種類の尿中蛋白質沈殿法を試した。その結果,アセトンを用いた蛋白質沈殿法を用いて尿中蛋白質を沈殿させた場合,アルブミン定量が可能であることが分かった。

得られた定量データを,抗体を用いたアルブミン濃度計測法と比べた結果,両者の相関が高いことがわかり,従来法に比べてそん色のない定量法であることがわかったという。

今後の課題として,尿中の蛋白質の精製方法の簡便化があり,アセトン沈殿以外の方法で尿中蛋白質の精製ができないか探るという。研究グループは,ホタルイカルシフェリンを改変し,より発光の強い分子を合成することで,感度の向上も可能だとしている

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