ラティス・テクノロジーは,NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトとして,XVLファイルから3次元(3D)組み立て図などを作成しWEBブラウザーで閲覧できるようにするツール「XVL Web3D Manager」の拡張現実(AR)オプション「XVL AR」を製品化した(ニュースリリース)。
ARを実現するには一般的に実物にマーカーを配置し,それをスマートフォンやタブレットのカメラで読み込み3Dモデルと位置合わせを行なうが,実際の試作や製造の現場ではこのマーカーの配置に手間がかかる。
今回,平面の自動認識技術や作業者の動作追跡機能を開発することで,タブレット端末を実物に向けてかざすだけで位置合わせを行ない,そこを基準に部品などの3Dモデルを表示できるようにした。これにより,位置合わせ用のマーカーの配置などの前処理を行なうことなく,現実世界の実物と3DモデルのARトラッキングが可能となった。
これまでは3Dモデルと現物の対象部品の品番など関連する設計・製造情報を確認するには,現物と書類などを見比べる必要があるなど,デジタルデータを十分に活用できていなかった。
現物・タブレット・3Dモデルの相対位置を検出する技術や位置合わせを容易に実現するユーザーインターフェースを開発することで,ユーザーが3Dモデル上の部品を指定すると,その部品にひもづくPMIなどの設計情報や,組み立て時の作業注意事項が実写画像に投影できるようになった。これにより,紙など他の情報媒体と見比べる必要なく,AR上で作業に必要な設計・製造情報を正確に把握できる。
ラティス・テクノロジーは,今回製品化した「XVL AR」技術をさらに進化すべく,スマートグラスを活用したAR表示の技術開発に取り組んでいく。これによりNEDOは,サプライチェーン寸断リスクが生じた際にも製造現場において柔軟・迅速に対応しサプライチェーンを維持するための「企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)」を強化するとともに,脱炭素化の取り組みとしての生産ライン単位や工場単位での省エネ化を目指すとしている。