日亜化学工業は,微生物不活化評価などのUV感受性評価のための「LED照射装置」を開発したと発表した(ニュースリリース)。
紫外線(UV)を用いた微生物不活化は,水銀ランプ,波長可変レーザー,発光ダイオード(LED)等を用いてこれまで盛んに研究が行なわれており,特に近年,紫外線LED(UV LED)は様々な波長の開発が進んだことや,小型のサイズを活かして多様な機器に組み込める利便性もあり,感染症対策機器などの衛生管理手段として注目が集まっている。
しかしながらUV LEDに適した評価システムや方法が確立されていないため研究毎に照射条件が異なっており,その結果,微生物の不活化効果について統合した評価ができず混乱が生じているとし,そこで標準化された照射装置および評価法が必要と考え,照射条件を厳密に踏まえたこの装置を開発したとする。
UV感受性評価は,主に放射照度と照射時間の積である積算光量(UV Dose)にたいして対象物がどのように変化したかを評価するため,対象面の放射照度と,照射時間を正確に把握することが必要となり,そのため対象面の放射照度が安定かつ照度分布が均一であることや,照射時間が正確にコントロールできることが求められる。
例えばUV LEDは,ジャンクション温度と言われる発光素子内部の温度によって出力が変化するが,この装置はLED配置部に水冷ヒートシンクを備えており温度上昇を抑えることが可能。
その際,ピーク波長の異なるUV LEDは,電気温度特性が波長ごとに異なる可能性があるが,各波長のLED特性をそれぞれ個別に測定し,それらを踏まえた照射装置とすることで250nmから365nmまでの幅広い波長域で信頼性の高いUV感受性評価を行なうことが可能だとしている。
また,放射照度の均斉度,光線角度,周辺・背面素材の反射などの要因については,要件を満たしたものと満たしていないものとで実験条件を設定し,それぞれ比較を行なうことで精度の高いUV感受性評価ができる条件を確認。
その結果,対象物に対する放射照度分布がより均一で機構内部の反射や迷光の影響がない構造であり,対象物に対する放射照射分布は,φ35㎜の対象範囲において約98%の均斉度となっているという。