積水化学工業は東京都とフィルム型ペロブスカイト太陽電池の共同研究を進めており,今回,耐腐食性能や設置方法などを検証するために,東京都の下水道施設にフィルム型ペロブスカイト太陽電池の設置を完了したと発表した(ニュースリリース)。
これに伴い,設置場所である森ヶ崎水再生センター(東京都大田区)では5月24日,東京都知事や同社代表取締役社長らが出席し,検証のキックオフが行なわれた。
この実証実験を通じて,東京都は総合調整およびペロブスカイト太陽電池の設置場所の提供,技術的助言および技術評価を行ない,同社は研究計画の策定,ペロブスカイト太陽電池の設置,計測および分析,下水道施設への適用に向けた研究開発を行なう。
同社はフィルム型ペロブスカイト太陽電池において,独自技術である「封止,成膜,材料,プロセス技術」を活かし,業界に先駆けて屋外耐久性10年相当を確認し,30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築している。さらに,この製造プロセスによる発電効率15.0%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造に成功している。
2023年度からは,今回の実証実験をはじめ,各種用途への設置を通して技術実証と設置・施工方法の確立を進めていく。並行して,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金を活用し,1m幅での製造プロセスの確立,耐久性や発電効率のさらなる向上に向けた開発を進め,2025年の事業化を目指すとしている。