ニコンソリューションズは,高演色LEDを採用し自然光に近い光源での観察を実現する,正立顕微鏡「ECLIPSE Ni-L」を発売する(ニュースリリース)。
病理分野における正立顕微鏡による明視野観察では,ハロゲン光源から長寿命のLED光源への置き換えが進んでいる。一方で,一般的にLED光源は青色が強く,得られる画像の色味が不自然になるという課題があった。
今回ニコンは,長寿命と高演色性を兼ね備えたLED光源搭載の正立顕微鏡を開発した。高演色LEDを採用し,さらに顕微鏡設計を独自に工夫することで,明視野観察に適した色や明るさを実現したという。
光の色が一定に保たれるため,顕微鏡デジタルカメラや画像統合ソフトウェア「NIS-Elements」(別売)と組み合わせた標本撮影時の色情報が安定し,色再現性の高い画像を得ることが可能。これにより,「NIS-Elements」による画像処理やAIを用いた画像解析の精度向上にも貢献するとしている。
LED光源はハロゲン光源比約25倍の長寿命(約50,000時間:同社規定値による)で,光源交換が殆ど必要ないため廃棄物を低減する。また,低消費電力のためCO2削減にも貢献できるほか,光源の交換や手配といったメンテナンス負荷の大幅低減にも寄与する。
色味を白色光に近づけるため,ハロゲン光源を採用した機種では,カラーバランスフィルターを使用して色調整を行なっていたが,フィルターを着脱し忘れる人為的ミスが発生するケースがあった。高演色を実現したこの製品は,カラーバランスフィルターを使用する必要が無いため,フィルター着脱のミスや手間が発生しない。
ハロゲン光源を採用した機種では定期的な交換のため光源を外付けしていたが,この製品は筐体内にLED光源を内蔵することで,奥行きを約150mm短縮。設置場所の自由度を高め,観察スペースを有効活用できる。
さらに,病理クラウドサービス「Nikon Pathology Cloud Service」と連携することで,病理標本に関する補足情報を含めた病理画像データの保管やリモートユーザーへのデータ共有をスムーズに行なうことができ,業務効率の向上に寄与するとしている。