東大ら,活火山の可能性がある地球サイズ惑星を発見

東京大学大ら国際研究グループは,宇宙望遠鏡と地上望遠鏡による観測を組み合わせた研究により,およそ90光年先にある赤色矮星LP 791-18の周りに地球サイズの系外惑星LP 791-18dを新たに発見した(ニュースリリース)。

赤色矮星LP 791-18は,太陽系からおよそ90光年離れたコップ座の方向にある。この恒星の周りにはこれまで,トランジット惑星探索衛星TESSによる観測から惑星bとcが見つかっていた。惑星bは地球の約1.2倍の半径で公転周期は約0.94日,惑星cは地球の約2.5倍の半径で公転周期は約4.99日。

新たな惑星LP 791-18dのトランジットは,127時間におよぶスピッツァー宇宙望遠鏡の連続観測によって発見された。この惑星dは,惑星bとcの間の軌道に位置し,公転周期は2.75日,半径はおよそ地球とほぼ同じ1.03地球半径となっている。

多数の研究グループが地上望遠鏡を用いて惑星cとdのトランジット観測を行なった結果,LP 791-18の周りを公転するたびに,惑星dとcは接近するタイミングが訪れる。この時お互いの引力が影響を及ぼし合うため,トランジット時刻が一定の公転周期からずれる。

このトランジット時刻のずれを調べることで,引力を及ぼしている惑星の質量を推定することができる。多数の地上望遠鏡による観測を繰り返すことで毎回のトランジット時刻を測定し,惑星dの質量が地球と同程度,惑星cの質量が地球の9倍程度であることを明らかにした。

惑星cから及ぼされる引力は,惑星dの公転軌道をわずかに楕円形に変形させている。この楕円形の軌道を公転する中で,惑星dには恒星からの潮汐力が働き,わずかに変形する。木星の衛星イオと同じく,この変形が惑星内部の摩擦を生み,惑星を加熱し,惑星表面で活発な火山活動を起こしている可能性があるという。

LP 791-18dはハビタブルゾーンの内側境界付近に位置している惑星で,恒星からの潮汐力により自転周期と公転周期が一致しており,恒星に常に同じ面を向けていると考えられる。惑星の「昼側」の面は水が存在するには高温すぎる可能性が高いが,火山活動が起こっていれば惑星に大気が存在し,「夜側」の面では大気中で水蒸気が凝集し液体の水が存在する可能性がある。

惑星cについてはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による惑星大気の観測が予定されている。また,惑星dも重要な惑星大気観測のターゲットになり得るという。

惑星の大気組成を検出すれば,惑星の地殻活動が惑星大気に及ぼす影響を深く調べることが可能になり,研究グループは「アストロバイオロジー(宇宙生物学)」の観点からも重要だとしている。

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