■併設のイベントも盛況
OPIEではリスキリングに適したセミナーをはじめとする併催のイベントも充実している。ここではオープンセミナーを中心に紹介する。会期初日にはアネックスホールにおいて,天田財団による第6回レーザプロセッシング助成研究成果発表会が開催され,展示会場内ではうみつばめ衛星プロジェクトと,NTTによるIOWNセミナーが行なわれた。
会期2日目は日本国際賞受賞記念講演及び光通信・情報処理に向けたシリコンフォトニクスセミナーが開催され,最終日となる3日目は応用物理学会 フォトニクス分科会主催セミナーと,第6回TACMIコンソーシアムシンポジウムが開催された。
オープンセミナーとしては毎年好評を博している宇宙・天文特別技術セミナーや,情報通信研究機構(NICT)の研究者が語る開発動向セミナーも行なわれ,このうち,NICTによるセミナーでは今回,宇宙衛星における光通信技術がメインテーマとあって多くの聴講者が訪れていた。
天田財団による今年のレーザプロセッシング助成研究成果発表会のテーマは「高付加価値製造を実現するレーザアディティブマニュファクチャリング」で,基調講演には大阪大学の塚本雅裕氏が登壇(写真内)。講演ではAM技術の研究開発を主導している産業技術総合研究所の佐藤直子氏,東京都立大学の筧幸次氏,九州工業大学の楢原弘之氏,大阪産業技術研究所の山口拓人氏がそれぞれ研究成果を発表した。
後半では日本AM協会の澤越俊幸氏がアディティブマニュファクチャリングの活用事例を,さらに矢野経済研究所の小山博子氏がアディティブマニュファクチャリング市場動向について,それぞれ紹介した。
今年,日本国際賞を受賞された東北大学の中沢正隆氏と情報通信研究機構の萩本和男氏が記念講演を行なった。日本国際賞では両氏が開発された「半導体励起光増幅器の開発を中心とした光ファイバ網の長距離・大容量化」が評価され,受賞となった。(写真左が中沢氏,右が萩本氏)
シリコンフォトニクスセミナーでは,東京大学の荒川泰彦氏(写真上段左),アイオーコアの中村隆宏氏(上段右),NTTの松尾慎治氏(中段),東京工業大学の納富雅也氏(下段左),富士通の尾中寛氏(下段右)が登壇し,国プロから研究開発に関わる最前線が語られた。先のIOWN構想実現のキーテクノロジーの一つとしてもシリコンフォトニクスは注目されている。
今回OPIEと併設して初開催された応用物理学会フォトニクス分科会主催セミナーにも多くの聴講者が参集した。テーマは「光技術を利用した様々なセンシング」で,物質材料研究機構の岩長祐伸氏,徳島大学の矢野隆章氏,埼玉大学の塩田達俊氏,NTTの脇坂佳史氏が登壇し,それぞれの研究テーマによる開発動向を紹介した。
OPIEの併設としては今回で2回目の開催となったTACMIコンソーシアムシンポジウムには今年もまた150名を超える聴講者が集まった。TACMIコンソーシアムは東京大学の小林洋平氏(写真内)が代表を務める高効率レーザープロセッシング開発を産学官連携によって推進するコンソーシアム。
今年のシンポジウムのテーマは「半導体を支えるレーザ技術」で,当日は理化学研究所の五神真氏(ビデオ講演),経済産業省の金指壽氏が来賓として挨拶し,我が国の半導体戦略の重要性を説いた。これを具体化する取り組みを東京大学の黒田忠広氏を中心に展開しており,その取り組みについて紹介した。レーザー技術の講演ではスペクトロニクスの長岡由木彦氏,九州大学(元ギガフォトン)の溝口計氏,三菱電機の西前順一氏,味の素ファインテクノの藤原祥雅氏が登壇した。