弘前大ら,発光測定でウィルスを簡便・迅速検出

弘前大学と大阪大学は,感染性ウイルスを簡便かつ迅速に,そして高感度で検出する画期的な方法を新たに開発した(ニュースリリース)。

抗ウイルス薬剤や,抗ウイルス活性物質の効果の検証は,実際に感染性があるウイルスについて調べる必要があり,PCR 検査や抗原検査ではなく,感染した細胞を検出するプラークアッセイと呼ばれる方法が用いられている。この方法は数日の時間を要し,かつ熟練の技術員による作業が必要とされている。

新型コロナウイルスは,感染すると自身の遺伝子にコードされている蛋白質分解酵素3CLproを活性化させ,新たなウイルスを作るために必要な材料を調製する。今回,研究グループは,この3CLproの働きによって活性化されるルシフェラーゼを改変したプロテアーゼセンサー「FlipNanoLuc」を世界に先駆けて開発した。

FlipNanoLucは,特異的基質の添加により発光することから,実際にウイルスが細胞に感染したかどうかを発光測定によって高感度に検出できることを証明した。

このシステムを利用することにより,抗ウイルス活性物質の短時間での評価が可能になり,膨大な数のサンプル処理を必要とする抗ウイルス薬の開発や予防ワクチンの開発に貢献できるとする。

研究グループは,新型コロナウイルスに限らず,多くのウイルスは独自の蛋白質分解酵素を持つことから,今後出現する新たなウイルスの検出にも応用できる技術として期待されるとしている。

その他関連ニュース

  • 豊田合成,最高級出力(200mW)UV-C LEDを開発
    豊田合成,最高級出力(200mW)UV-C LEDを開発 2024年04月22日
  • 工学院ら,190~220nmで発光するUVランプを開発 2024年03月18日
  • 旭化成ら,深紫外LEDで車両の空気殺菌する実証開始 2024年02月27日
  • 東北大ら,ウィルスを高感度検出できる微粒子を開発 2024年02月01日
  • 産総研ら,ウミホタルの発光で迅速にウィルス検出 2024年01月18日
  • 北大,ニュートリノと光の相互作用の解明に成功 2023年09月15日
  • 阪大ら,新構造デバイスによる深紫外光発生に成功 2023年09月13日
  • 日機装,深紫外線LED水除菌モジュールを発売 2023年09月05日