日亜化学工業は,独インフィニオン テクノロジーズとヘッドライト用に16,000個以上のマイクロLEDを搭載した高解像度(HD)ライトソリューションを開発し,業界初となるHDアダプティブ ドライビング ビーム(ADB)用完全統合型マイクロLEDライトソリューションとして発表した(ニュースリリース)。
16,384画素の「µPLS」(マイクロピクセル ライト ソリューション)は,高精細な解像度と業界最高水準の光量を兼ね備え,現在のマイクロミラーベースのHDマトリックスライト ソリューションと比較して4倍の広視野角と大幅に高い光量を実現したという。
これにより,道路脇の人や物を照らし出してドライバーに危険を知らせることができるほか,工事現場や交差点でドライバーを誘導するために,道路上にマークを投影することも可能となる。
さらに,現在のADBと比較して,まぶしくないハイビームやベンディングライトなどの機能を,より正確かつスムーズに機能させることができるため,ドライバーの安全性や運転の快適性を新たなレベルに引き上げることに貢献するとしている。
また,16,384個のLEDを駆動できるLEDドライバーは半導体1チップ分のサイズで,全てのマイクロLEDを個別にパルス幅変調(PWM)制御で駆動することが可能。さらに,ドライバーICは各マイクロLEDを個別にモニターし,オンチップの温度モニターで最適な温度制御ができる。
ビデオインターフェースを内蔵し,ライトパターンジェネレーターからのビデオ信号の高速転送を可能にした。ドライバーICは,光パターンに実際に必要なLEDのみを作動させることで,従来の製品と比較してエネルギー効率が高く,CO2排出量の削減と電気自動車の航続距離の延長に貢献するという。
これにより,より小型でスリムなヘッドランプの設計が可能になるほか,自動車メーカーやドライバーの要求に応じて調整することもできるので,例えば,左利きと右利きのドライバーで異なる要求に対応することができるため,自動車メーカーの設計と生産の複雑さを大幅に軽減するとしている。
この製品は両者が2019年9月に共同開発を発表したもの。2023年にはドイツのプレミアム カーに搭載される予定だとしている。