ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)と日本電気(NEC)は,倉庫における荷物の入出荷などオペレーションの効率化をめざし,AIカメラなどのエッジデバイスを活用した物流業界向けエッジAIセンシングソリューションの実証実験を2022年12月から開始した(ニュースリリース)。
商取引の急速なEC化に伴って荷物の取扱量が爆発的に増加する中,物流業界における人手・処理能力の不足が重大な社会課題となっている。
これに対し両社は,倉庫の空き棚スペースをエッジAIにより可視化し,荷物の入出荷に関するデータを掛け合わせることで,作業時間の短縮に繋がる最適な入庫スペースを作業員にリコメンドするソリューションを開発している。
このソリューションは,AIカメラを活用したソリューション構築を支援するSSSのエッジAIセンシングプラットフォーム「AITRIOS」と,NECの空き棚スペースを可視化するアプリケーションを組み合わせることで,システム開発の効率化とAI再学習を実現し,倉庫環境に合わせて検知精度を持続できるサービス運用をめざす。
具体的には,SSSがAI処理機能を有するインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」を提供。このセンサーを搭載したAIカメラが,専用の再学習可能なAIモデルにより棚や荷物を検知する。
「IMX500」は,小型なチップで撮像からAI検知までを実施。物理的な制約が伴う倉庫で,レイアウトへの影響を最小限に抑えながら,柔軟なAIカメラの設置が可能だとする。検知結果は,荷物に関する意味情報(メタデータ)として後段のシステムに送信。画像のまま送信する場合と比較し、取り扱うデータ量を最小限に抑え,システムの運用コストを削減する。
NECは,画像情報を元に空き棚スペースを可視化し,ピッキング時の作業時間を短縮するための最適な空き棚スペースをリコメンドするアプリケーションを提供する。
実証実験は,日通NECロジスティクスの協力のもと,このソリューションによる倉庫の生産性向上効果を実証する目的で,日通NECロジスティクス成田倉庫において2023年3月まで実施するとしている。