ニコンの子会社,ニコンソリューションズは,細胞や組織を生きたまま,高解像で深部まで観察可能な,超解像ユニット「NSPARC(エヌスパーク)」を2023年2月上旬に発売することを発表した(ニュースリリース)。
近年,創薬開発をはじめ脳科学や免疫学などの研究分野では,生細胞や生体組織,臓器チップなどを顕微鏡で観察し,その微細構造や瞬時の反応,変化を解析するニーズが高まっているという。
このようなニーズに対し,同社は一般的な光学顕微鏡の解像度の限界を超える超解像顕微鏡を2010年から提供してきており,さらに,レーザー光源で標本をスキャンし,鮮明かつ広視野な三次元画像を取得できる共焦点レーザー顕微鏡システム「AX」「AX R」を昨年発売している。
今回,同社は,「AX」「AX R」と組み合わせることで,従来の超解像顕微鏡「N-SIM-S」と比較して3倍以上の深部観察ができ,コントラストの高い三次元画像の取得が可能な超解像ユニット「NSPARC」を開発。これにより,脳神経やオルガノイド,臓器チップなどの厚みのある標本の形態解析を高解像かつ高精度で行なうことが可能になるという。
「NSPARC」は,受光部にシングルピクセルフォトンカウンターと呼ばれる素子を25個配列して感度を1.3倍向上させ,スキャンポイントごとの豊富な情報を基に画像処理を施すとし,これにより,ノイズが発生しやすい深部であっても,コントラストの高い三次元画像を取得でき,標本の微細な構造を観察できる。
また,受光部の感度が高い「NSPARC」と,高速に画像取得するレゾナントスキャナーを搭載する「AX R」を組み合わせることで,高速スキャン中も標本の詳細な情報をとらえ,高解像な画像を取得可能。細胞へのレーザー照射時間を減らしてダメージを抑え,低褪色で低光毒,高解像で安定したライブセルアッセイが可能となるとしている。
さらに,画像統合ソフトウエア「NIS-Elements C」とあわせて用いることで,顕微鏡画像の取得や解析,データ管理を一元化することが可能になるという。