日本大学と九州大学は,強い光閉じ込め現象を発現する異方性銀ナノプリズムのボトムアップ2次元集積技術の開発に成功した(ニュースリリース)。
機能性ナノ物質は,望みの形態に集積させることで,その機能をマクロレベルで取り出せる他,物質間の強相互作用の実現を介して新たな機能の発現が期待できる。しかし,それら物質が超微小であるがゆえ,望みの精巧な集積技術は未だ挑戦的な課題となっている。
研究では,水-ブタノール混合系における,水/空気界面へのブタノールの表面過剰現象に起因して発生するミクロ対流(Rayleigh–Bénard–Marangoni対流)を利用し,異方性銀ナノプリズムの精巧な2次元集積構造を,センチメートルオーダーで自発形成させる新たな手法を開発した。
さらに,この集積構造が超強力な光閉じ込め現象(表面プラズモン共鳴)を発現することを突き止め,これによって集積構造がステガノグラフィーとして機能することを実証した。ステガノグラフィーとは情報隠蔽技術の1つで,「情報を他の情報に埋め込む技術」を指す。
この研究で開発された集積構造は,通常環境下では集積体の色のみが視認されるが,今回の研究では,レーザーを照射した時のみ,表面増強ラマン散乱現象によって書き込まれた情報を視認できることを実証したとしている。