日本電信電話(NTT)は,米Ciena Corporation,富士通,日本電気(NEC)と共同で,IOWN Global Forum(IOWN GF)にて策定されたOpen APNの基本機能の動作実証を実施する(ニュースリリース)。
IOWN GFでは,これまでは主に通信事業者の施設間で使われてきた光波長パスを,データセンターや医療拠点などといったユーザ拠点を端点とすることを可能とするOpen APNアーキテクチャを策定し,2022年1月に発行した。
Open APNのアーキテクチャで定義されているネットワークノードは,Open ROADM MSAにより定められた標準部品を所定の構成方法で組みわせることにより実現可能であり,これらの標準部品はCiena・富士通・NEC等の国内外の製品ベンダより既に製品化されている。
そこで,これらの製品を活用し,Open APNのアーキテクチャに基づき大容量・低遅延な通信が実現できることを確認するフィールドでの共同実証を,2022年度第四四半期に製品ベンダと合同で実施する。この実証では,二拠点間での光波長パス生成などの機能確認,スループット・遅延などの性能確認,光波長パスの端点に配備する端末のマルチベンダ接続確認などを行なう。
この実証結果は2023年度以降のAPNサービスに活用をめざすとともに,IOWN GFを通じて公開する予定。Open APNが世界の製品ベンダの既存製品をベースに実現できることの認知を広め,ユースケースの創造,世界での市場の拡大を目指す。
Open APNの用途拡大に向け,NTT研究所では,下記の機能群の動作実証にラボ環境にて成功している。
①ユーザ拠点端末と通信事業者機器が連携・協調した,サービス条件を満足する光波長パスの自動設計開通機能,最適モード選択等の調整機能
②ユーザ拠点端末における光波長端点の設定管理機能,端末の認証状態に基づいた通信事業者機器における光信号の通過・停止機能
③異なる種類の光ファイバを同一の光波長パスのままで接続可能とするアダプテーション機能
また,APNサービスにおける大容量低遅延通信をより低電力消費に実現するため,光トランシーバ向け光電融合デバイスの開発体制を強化する。その一環として,高性能アナログ集積回路設計の経験が豊富な米fJscaler Inc.をNELにより子会社化した。今後はNELによる開発を推進し,2023年度以降のAPNサービスへの導入をめざすとしている。