千葉工大と東工大,水中光無線給電をCEATECでデモ

千葉工業大学・教授の内田史朗氏と東京工業大学・准教授の宮本智之氏ら研究グループは,この10月に開催したCEATECのALANコンソーシアムブースにおいて,水中光無線給電のデモンストレーションを行なった。

光無線給電システムはレーザー光を空間伝搬させ,受光器で電気エネルギーに変換し給電するというものだが,今回のデモンストレーションではこれを水中で行なうことを想定したもの。水中では赤外波長帯では光が減衰するため,可視光の波長帯が有効とされている。そこで,青色光や緑色光が用いられる。

今回,ALANコンソーシアムのブース内では,宮本氏による,水槽を通した光ビームにより太陽電池に接続したLEDを発光させるという,水中設置の小型端末の概念構成が示され,さらに450nmの青色レーザー光を用い,水槽の模型の潜水機に取り付けられた太陽電池パネルにその光を照射するデモンストレーションが行なわれた。

デモにあたっては安全性の都合上,レーザーの出力を上げることができないため,数mWの光出力でスイッチ回路をオンにして電池の出力で潜水機を動かすというデモとした。千葉工大の内田氏は,実際給電を実現させるためには「特に光吸収係数の高い化合物太陽電池素子を選択することが重要」とし,青色レーザー光に吸収特性が高いGaInPの太陽電池を選んでいるという。また,照射レーザー光の波長選択も重要とし,給電場所によって散乱度が異なるため,波長最適化が必要としている。

開発課題として挙げているのは3つあり,一つ目は散乱を考慮した水中での光学結合効率の改善,二つ目は高出力レーザー光照射時に熱飽和が起こらない化合物半導体太陽電池の検討,三つ目は照射レーザーの波長選択となっている。レーザーの高出力化も求められるが,今後は10~100Wで,1~50mの距離の光無線給電の開発を見込んでいる。

ALANコンソーシアムでは海洋産業における光応用の開拓を目指しており,想定されているアプリケーションの開拓に向けて技術開発を進めている。今回のブースでは青色光LiDARによるリアルタイム計測と,緑色レーザー光による水中光無線通信のデモンストレーションも行なっていた。

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