名大ら,血管から照らす光線免疫療法を開発

著者: sugi

名古屋大学と朝日インテックは,産学連携共同研究として,心筋梗塞や脳梗塞の治療などに幅広く用いられている血管内治療技術(インターベンショナルラジオロジー:IVR)を応用した光照射技術の開発を行ない,現状では光が届かない深部組織への新規光照射システムおよびデバイス(ET-BLIT: Endovascular Therapy-Based Light Illumination Technology)の開発に成功した(ニュースリリース)。

近年,近赤外光線免疫療法(Near Infrared Photoimmunotherapy:NIR-PIT)が新規の治療法として注目されており,世界に先駆けて日本で2020年9月にがん細胞増殖に関わるがん標的タンパク質EGFRを高発現する再発既治療頭頸部がんに対して,承認を受けて保険適用されている。

今回研究グループが開発したET-BLITは,心筋梗塞や脳梗塞治療などの血管内治療で用いられる画像下治療技術を応用して,デバイスに光照射技術を組み合わせることで,血管内で使用可能な細径光照射デバイスと治療システム。

通常の血管内治療と同様の手法で容易に患部までの光照射デバイスの到達が可能であり,かつ,このデバイスが搭載する光照射位置の正確な制御技術やリアルタイムでの血液温度測定技術を組み合わせることで,血管の中から,血管外の目的組織に対して高効率,かつ高い安全性で近赤外光を照射可能であることを確認した。

この評価では,ヒトに近い血管走行を持つブタを用いた動物実験での評価を行ない,肝臓,腎臓などの血管に鼠径部からのアプローチで容易にデバイスが到達可能で,かつ,評価を行なったいずれの血管においても血管外における光の検出に成功した。

心筋梗塞や脳梗塞治療のための血管内治療は現在世界中で幅広く行われている治療術式・技術であることから研究グループは,ET-BLITを臨床応用に移行するハードルは,ソフト,ハードの両面からも低いと考えてる。

このため,ET-BLITのデバイスのさらなる最適化を進めるとともに,臨床試験への移行に向けた基礎検討,非臨床試験を実施することで,近赤外光線免疫療法を始めとして,数多くの光治療の臨床応用移行のための技術として応用されることが期待されるとしている。

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