富士フイルム,CMPスラリー生産設備を熊本に新設

富士フイルムは,電子材料事業をさらに拡大するため,約20億円を投じて最先端半導体材料に対応したCMPスラリー生産設備を熊本に新設する(ニュースリリース)。

今回,電子材料事業の中核会社である富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(FFEM)が,熊本県に立地する富士フイルム九州に,半導体製造プロセスの基幹材料であるCMPスラリーを生産する最新鋭設備を導入する。

CMPスラリーの国内生産化と生産能力増強に向けたもので,FFEMが,ディスプレー材料の主要生産拠点である富士フイルム九州の工場内に,CMPスラリーの生産設備や品質評価機器を導入。新たな設備・機器と,ディスプレー材料にて顧客の高い品質要求に応えてきた富士フイルム九州のノウハウを組み合わせて,高品質・高性能なCMPスラリーを生産するという。

なお,この設備は,2024年1月の稼働を予定しており,同社としては国内初のCMPスラリー生産設備となるとしている。

半導体の需要拡大と高性能化が見込まれる中,半導体製造プロセスで使用する半導体材料では,より高品質・高性能な製品を安定的に供給することがますます重要となっている。CMPスラリーは,硬さの異なる配線や絶縁膜が混在する半導体表面を均一に平坦化する研磨剤で,その市場は年率10%の成長が見込まれているという。同社は,米国・台湾・韓国にCMPスラリーの生産拠点を有しており,この製品の市場伸長を大きく上回る売上成長を達成しているとする。

今後,同社は,世界4拠点の生産体制の下,CMPスラリーの安定・迅速供給を実現することで,さらなるビジネス拡大を図る。また,研磨後の不純物を取り除くポストCMPクリーナーを有する強みを生かしたトータルソリューション提案で,顧客が抱える課題を解決する。

同社は,CMPスラリー・ポストCMPクリーナーのみならず,フォトレジストやフォトリソ周辺材料,ポリイミド,イメージセンサー用材料などの幅広い製品ポートフォリオと,グローバルな安定供給体制を持つ。今後積極的な設備投資などによる成長戦略を推進し,電子材料事業の持続的成長を図るとしている。

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