早稲田大学ベンチャーズ(WUV)は8月29日,WUV1号ファンドの第一号案件として,日本初のゲート式量子コンピューター・ハードウェア開発スタートアップである,早稲田大学発の Nanofiber Quantum Technologies(NanoQT)に2億円の創業投資を行なったと発表した(ニュースリリース)。
NanoQTは,早稲田大学理工学術院の青木隆朗教授が発明したナノファイバーQED(量子電気力学)共振器を基盤技術とする。世界での量子コンピュータの研究開発で現在実装できている量子ビット数は,数ビット~100ビット程度に留まっているが,ナノファイバー共振器QED方式を用いると,単一のユニットで1万ビット程度,さらに多数のユニットを接続しネットワーク化することで圧倒的な大規模化を可能にするという。
世界的にも前例のない,ナノファイバー共振器QED方式の量子コンピューターの実現に取り組むために,WUVではNanoQTの創設から支援を行なってきた。今回,米マサチューセッツ工科大学にて量子物理分野で博士号取得し,マッキンゼーアンドカンパニー出身の廣瀬雅氏をCEOとする創業チームを組成した。共同創業者の3名はいずれも英科学誌ネイチャーに筆頭著者として論文掲載の実績がある。
WUVは,今回のNanoQTへの2億円の創業投資により,量子科学分野のトップ研究者を世界中から結集し,既存の超伝導方式やイオントラップ方式を凌ぐ日本発の新方式の量子コンピュータを実現するべく支援していくとしている。