浜松医大,網膜保護物質が光異性化することを発見

浜松医科大学の研究グループは,太陽光への暴露により,網膜組織中のコエンザイムQ10が化学的な組成は変化せずに構造が変化(光異性化)していることを明らかにした(ニュースリリース)。

日常生活で視覚に大きく依存している我々にとって眼の保護は重要となる。眼の奥には光を感じとる網膜があり,この網膜組織において光に晒されて光異性化を起こす分子については,十分な理解はされていなかった。

眼の保護には光異性化を起こす分子の解明は必要不可欠だと考え,研究では,分子が持つ特性を利用して組織中から分子を分離する液体クロマトグラフィー技術と,質量をもとにその分子が何なのかを同定する質量分析技術を組み合わせたLC-MSを用いて,太陽光への暴露の有無で網膜組織中の分子変化を検証した。

太陽光に暴露させた網膜組織では,コエンザイムQ10という分子が太陽光を暴露させていない網膜組織と比較して光異性化(化学的な組成は同じだが構造が異なるものになる変化)を示すことがわかった。

特に,紫外線のような短い波長の光照射によりコエンザイムQ10の光異性化が起きやすいこともわかった。コエンザイムQ10は抗酸化作用や抗炎症作用を持ち,加齢により網膜組織中の合成量が減少することから,サプリメントとして広く用いられている。

研究グループは,光異性化したコエンザイムQ10の機能解析が進めば,長時間強い光に晒される業務についている人や,大光量照射を要する眼手術を受けた患者に対する網膜保護につながる成果が得られることが期待されるとしている。

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