横河計測は,近赤外から中赤外の光スペクトルを高精度に測定でき,かつ従来製品より操作性を向上させた光スペクトラムアナライザ「AQ6375E」,「AQ6376E」を開発,7月29日から発売する(ニュースリリース)。
近年,地球環境問題への社会的関心の高まりから,温室効果ガスや有毒ガスを削減する取り組みが本格化している。環境計測分野では,温室効果ガスの濃度を測定するセンサー技術として,レーザー吸収分光法の開発が拡大している。
また,ヘルスケアや医療分野においては,身体を傷つけずにレーザー技術を用いて血中グルコースや血中コレステロールを測定する,ヘルスモニタリング用センサーや,光を使った身体の断層構造の撮影(OCT)に関する技術開発が進められている。
温室効果ガスの濃度測定やヘルスケアモニタリング用のセンサーを開発するには,測定対象の吸収波長に合った波長2µm帯や3µm帯の高性能なレーザーが不可欠であり,高精度にレーザー光を測定でき,高い波長分解能で広い測定ダイナミックレンジの光スペクトラムアナライザが求められている。また,OCTの技術開発には約1~2.4 μmと幅広い範囲を一括測定できる光スペクトラムアナライザが必要とされている。
「AQ6375E」および「AQ6376E」は,分散分光方式を採用した業界唯一のベンチトップ型光スペクトラムアナライザ。「AQ6375E」は近赤外1.0~2.5µm,「AQ6376E」は中赤外1.5~3.4µmの測定向けに最適化されており,半導体レーザーやファイバレーザーなど,光デバイスの光波長成分を分解し,波長特性を評価できる。
これにより,二酸化炭素やメタンガスなどの濃度測定が必要な環境計測分野,血糖値を算出するために血中グルコースや血中コレステロールの濃度測定が必要なヘルスケアおよび医療分野などの近・中赤外光デバイスの開発や性能向上に貢献するという。
「AQ6375E」は,測定波長範囲1.2~2.4µmの「標準モデル」と,測定波長範囲1.0~2.5µmの「波長拡大モデル」,生産ラインでの使用に適した「リミテッドモデル」の3種を開発した。波長拡大モデルはOCTなどで使用される2µm帯SC(Super Continuum)光源の光スペクトル測定に最適だという。
また,「AQ6375E」および「AQ6376E」の測定ダイナミックレンジは,干渉計型光スペクトル測定器と比較して約1万倍の広さに相当する80dB以上を実現し,近傍ダイナミックレンジは,約300倍に相当する55dBを実現した。これにより,半導体レーザーのサイドモード特性の測定に十分な性能を実現したとする。
さらに,マルチタッチ対応の静電容量式タッチパネルを搭載した10.4型LCDディスプレーにより,直感的な操作がさらに容易になった。タブレット端末を操作しているかのような感覚で,全ての操作を行なうことができるという。
測定条件設定から解析結果出力までの一連の操作をナビゲートする測定対象固有のテストアプリケーションソフトウェアを提供。これにより光スペクトラムアナライザの細かな設定を容易に行なえるとしている。