東工大ら,可視-近赤外に反応する新規光触媒を開発

東京工業大学と台湾国立陽明交通大学は,Au@Cu7S4ヨーク-シェルナノ構造を持つ二重プラズモニック光触媒を新たに開発し,可視光および近赤外線照射下で顕著な水素生産を達成した(ニュースリリース)。

半導体光触媒を用いたソーラー水素生産は持続可能なエネルギー開発の中核的コンセプトとして注目されている。なかでも太陽光のエネルギー分布の50%超を占める近赤外線は未利用のエネルギー源として重要であり,近赤外光照射に反応できる光触媒の開発が求められてきた。

Cu2xSで実現可能な局所表面プラズモン共鳴(LSPR)波長は700 nmから2000 nmを超える範囲にわたっており,NIRスペクトルのほぼ全体をカバーすることができる。Cu2xSは,その中間バンドギャップとともに,可視光および近赤外光照射に対して反応し,全太陽放射の90%以上を利用することができる。

研究グループは,Au@Cu7S4ヨーク-シェルナノ構造を合成し,可視から近赤外スペクトル領域で顕著な水素製造のための光触媒として利用した。Auヨークナノ構造とCu7S4シェルナノ構造はどちらも局所表面プラズモン共鳴を示し,可視から近赤外領域までの光子を収穫できる。

開発したAu@Cu7S4は,可視光および近赤外線励起下で長寿命の電荷分離状態を維持した。さらにヨーク-シェルナノ構造の利点を生かし,Au@Cu7S4は励起波長500 nmで9.4%,2200 nmで7.3%という記録的な量子収率(AQY)を達成し,共触媒を必要としない水素生産において優れた性能を発揮した。

今回の研究成果では,自己ドープされた非化学量論半導体ナノクリスタルの局所表面プラズモン共鳴(LSPR)特性を利用して,広範なスペクトル駆動可能な光触媒反応の実現可能性が示された。

研究グループは,この可視光および近赤外線応答型の持続可能Au@Cu7S4光触媒システムの開発により,太陽エネルギーのより効率的な活用や,水素などの再生可能なエネルギー源の生成が期待されるとする。

これにより,持続可能なエネルギーの生産が促進され,環境への負荷が軽減される可能性がある。また,この研究は光触媒応用の新たな可能性を示唆し,将来的にはさらなるエネルギー革命や環境保護にも貢献できるとしている。

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