2027年,中小型AMOLED市場は3兆9,701億円に

富士キメラ総研は,ディスプレーデバイスの世界市場について調査し,その結果を「2022 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」にまとめた(ニュースリリース)。

それによると,大型TFTは2021年に好調だったPCモニター,ノートPC,タブレット端末の需要が減少するほか,パネルの価格の下落が予想され,2022年の市場は大幅に縮小するとみる。2023年以降は主要用途であるPCモニター,ノートPC,タブレット端末の需要は減少するため,市場は縮小を予想する。

中小型TFTは主要用途のスマートフォンにおいてAMOLEDへの切り替えが進んでいるため,2022年もスマートフォン向けは減少するとみる。一方で,高付加価値の曲面ディスプレーが採用される車載ディスプレー向けが車へのディスプレー搭載率の上昇により堅調に伸びて,市場をけん引するとみる。高精細パネルを用いるヘッドマウントディスプレー向けも伸びるとみている。

大型AMOLEDはTV向けのW-OLEDを中心に市場が形成されているという。2021年に好調だったW-OLEDが中国における新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で広州ラインからの出荷が停滞し,伸び悩んでいるが,2021年末から生産を開始したQD-OLEDが2022年にTVやPCモニター向けで発売するとして,市場は拡大が予想する。しかし,パネルコストが高い点などから,2023年以降は緩やかに拡大していくとみる。

コストダウンの取り組みとして,CF基板用のガラスをなくしてOLEDの封止膜上にCFを形成する技術や,次世代技術としてナノロッドLEDをインク化して塗布形成するQNED(Quantum dot Nano rod LED)の開発などが行なわれている。IJ-OLEDは,現在PCモニター向けのみの展開だが,2024年以降TV向けの生産が始まると予想する。

中小型AMOLEDはスマートフォン需要の停滞により,市場成長は鈍化すると予想する。スマートフォンは買い替えサイクルが長期化しており,今後もハイエンド製品は横ばいで推移するとみており,AMOLEDの採用ペースも鈍化すると予想する。

一方で,ノートPCやタブレットなどIT向けのAMOLEDが注目されており,Samsung Displayを中心に製品展開が行なわれ,G8.5ラインの投資を行なう方針だという。G8.5ラインでのOLED生産は2024年から2025年に始まり,市場は拡大すると予想する。

マイクロOLED・マイクロLCDは,デジタルスチルカメラの電子ビューファインダー(EVF)やヘッドマウントディスプレー(HMD),スマートグラスに採用されている。スマートグラスは,遠隔作業支援などBtoB向けを中心に需要増加が続いているほか,2024年には大手ITベンダーや大手スマートフォンベンダーが新規参入することから,BtoC用途が開拓され市場は大幅に拡大すると予想する。BtoC 向けにおいては屋外使用が想定されることから,高輝度化の要求も高まり,マイクロLEDの採用が増加するとみている。

LCD・OLED共通関連部材は大型アプリケーションの需要減少を背景にTFT LCD市場が縮小するため,需要は減るものの,為替の影響からプラスになるとみる。LCD関連部材は大型TFT LCD市場の縮小により需要が低迷するとみるが,2022年の市場は為替の影響によりプラスになると予想する。

OLED関連部材はフォルダブル用カバー材料,フォルダブル/プラスチックAMOLEDに関わるY-OCTA用オーバーコート剤,TFT基板用PIワニス,QD-OLED向けのQDインクなど今後成長が期待されるデバイス技術向けの材料が拡大するとみている。

また,調査ではQDインク市場に注目。QD材料を樹脂に分散してインクジェットプロセスに適用させた材料を対象とした。Samsung DisplayがQD-CFにインクジェットプロセスを採用したQD-OLEDの量産を2021年に開始したことで市場が立ち上がった。

2022年時点では,ソニーとSamsung El.の55インチ,65インチのTVやDellの34インチモニターなどに採用されており,Samsung DisplayがQD-OLEDの生産を増やしていることから,市場は大幅に拡大するとみる。

Samsungグループでは,Samsung DisplayがQD-OLEDとその次世代技術であるQNEDを開発しており,Samsung El.でマイクロLEDの開発を行なっている。Samsung DisplayのQNEDとSamsung El.の青色LEDとQD-CFを用いる方式のマイクロLEDは,青色LEDとQD-CFを使う点で原理的には同じたが,コストダウンにはLEDのサイズが小さいQNEDが向いているという。しかし,製造難易度としてはQNEDの方が高く,各技術の成熟度やコストダウンの程度に応じて最終製品のターゲットと採用技術を決定すると予想している。

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