同志社大,cAMP細胞を可視化する蛍光プローブ開発

同志社大学の研究グループは,細胞内のサイクリックAMP(cAMP)の濃度変化を可視化できる蛍光プローブ「gCarvi」(ジーカービィ)を開発した(ニュースリリース)。

生物の個体や組織では,全体として情報を共有するだけではなく,その一部分だけで情報を扱う仕組みを適宜活用することで,それぞれの機能を維持している。一個の細胞もシステマティックな工場のようなものであり,細胞全体で情報を共有する場面や,一部分だけに情報を集約する仕組みを活用していると考えられている。

細胞体から役割分担の異なる複数の神経突起を長く伸ばす脳を構成する神経細胞(ニューロン)では,細胞全体/一部分の情報管理を適切に行なうシステムを,高度に発達させていると予想できる。

たとえば細胞外から受け取った情報を,細胞内に伝えて応答するために,細胞内で最初に情報を伝える役割をセカンドメッセンジャーと呼ぶ。このセカンドメッセンジャー分子の指示に基づいて,細胞は様々な分子を動かし,適切に応答する。

cAMPは歴史的に最初に発見されたセカンドメッセンジャー分子。cAMPをセカンドメッセンジャーとして活用する細胞は,原核・真核細胞問わず広く存在する。このcAMPを用いた指示の仕組みとして,細胞全体に渡るような全体指令に加えて,一部分にだけ行なう個別指令がある可能性については,仮説(マイクロドメイン仮説)として1980年代に提唱された。

今回研究グループは,gCarviをニューロンに発現させることで,①cAMP全体指令によって,神経回路の活動が高まること,②cAMP個別指令によって,シナプス前部が活性化することを蛍光動画解析(蛍光イメージング)によって明らかにした

cAMPが指示を行なうためには,細胞内の指示を行なう場所でcAMP濃度を上昇させる必要がある。これまで仮説に止まっていたcAMP個別指令が実際に存在することを,はっきりと示した初めての報告だとする。

様々な細胞応答を引き起こすGタンパク質共役型受容体(GPCR)は,創薬開発では主要な標的分子。そして,多くのGPCRは細胞内cAMP濃度を増加または減少させる。このようなcAMPの増減は,ELISA法などによるEnd-point assayを用いて研究されてきた。

gCarviを用いたcAMP生細胞イメージングでは,End-point assayでは見ることができない多様なcAMP動態を解析することができることから研究グループは,薬の効果を評価する上で目的細胞のcAMP動態を可視化できるgCarviは,創薬開発における革新的な技術だとしている。

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