早稲田大学,千葉工業大学,岐阜大学,日本電気,高速近接無線技術研究組合,独ブラウンシュヴァイク工科大学,独フラウンホーファー応用固体物理研究所,独シュツットガルト大学,ドイツテレコム,仏リール大学,イスラエルSiklu Communications,英VIVID Componentsは,世界初の300GHz帯双方向リアルタイム伝送実験に成功した(ニュースリリース)。
移動通信システムの基地局を接続するためのネットワーク(バックホール・フロントホール)において,従来システムでは光ファイバが用いられることが一般的だが,将来の移動通信ネットワークであるBeyond5G/6Gシステムでは莫大な数の基地局が必要となるため,その一部を高速テラヘルツ無線が担うことが期待されている。
研究グループは,ブラウンシュヴァイク工科大学構内にて300GHz帯双方向リアルタイム伝送実験(伝送距離160m)を実施した。双方向通信で実際のネットワークに接続可能な無線伝送装置の動作実証はこの帯域では世界初だという。
今回開発した無線伝送装置は8.64GHzx2の帯域幅を用いて,伝送速度20Gb/sx2(双方向)に対応している。帯域幅の拡張により,さらなる高速化も可能だという。また,通信規格 IEEE802.15.3に準拠した信号形式での伝送実験にも成功しており,世界初の実証例だとする。この規格は日欧連携で策定を主導したもので,Beyond5G/6Gネットワークへのテラヘルツ通信のバックホール・フロントホールへの適用可能性を示唆するもの。
研究グループは,このプロジェクトの成果をベースとして日欧連携をさらに発展させ,テラヘルツ通信を用いたネットワーク実現を目指したNICTの委託研究「欧州との連携による300GHzテラヘルツネットワークの研究開発」を昨年度から実施している。
今後は長期にわたり屋外で動作させることが可能な小型のテラヘルツ無線伝送装置を開発するとともに,複数のテラヘルツ無線伝送装置を連携させ,悪天候時にもおいても安定的な高速データ伝送を可能とする技術開発を目指すとしている。