発明協会,令和4年度全国発明表彰の受賞者を発表

著者: sugi

発明協会は5月31日,「令和4年度全国発明表彰」の受賞者を発表した(ニュースリリース)。

表彰は,科学技術的に秀でた進歩性を有し,かつ顕著な実施効果を上げている発明等に贈る第1表彰区分と,科学技術的に秀でた進歩性を有し,かつ中小・ベンチャー企業,大学及び公設試験研究機関等の研究機関に係る発明等を対象とする第2表彰区分に分けられる。

今回,光関連の発明では,第一表彰区分のうち,特に,皇室の発明奨励に対する特別の思召により,最も優れた発明・意匠の完成者に贈られる恩賜発明賞に,富士通らの「音を振動・光で知覚する身体装着装置の意匠」が,また,第2表彰区分では未来創造発明賞に物質・材料研究機構らの「超低消費電力型多彩エレクトロクロミック材料の発明」が,未来創造発明奨励賞に,大阪大学らの「不純物を制御した高効率深紫外光波長変換素子の発明」が選ばれた。

このうち「音を振動・光で知覚する身体装着装置の意匠」は,音の大きさをリアルタイムに振動と光の強さに変換することで,リズムやパターンといった音の特徴をからだで感じる音知覚装置に関するもの。従来の音知覚装置は,光によって音の発生を知らせるものが多く,普段視覚情報に頼って生活しているろう者にとって,さらに光が加わるのは負担であるため,触覚を用いて音をフィードバックするアクセサリー型の装置をろう者と共に開発した。

この発明の受賞者は以下の通り。
本多達也氏(富士通),高見逸平氏(元富士通デザイン),千崎雄大氏(アルテクナ)

「超低消費電力型多彩エレクトロクロミック材料の発明」は,電気化学的酸化還元により可逆に色を変える特性(エレクトロクロミック特性)を有する新材料(メタロ超分子ポリマー)、及びそれを用いたデバイスに関するもの。

この材料は金属錯体が数珠つなぎになったユニークな高分子構造を有し,金属の電気化学的酸化還元によって,金属錯体の電荷移動吸収に基づく発色が出現/消失することで色変化する。電荷移動吸収のモル吸光係数が数万以上と大きいため,数百ナノメートルの極薄膜で大きな透過率変化を示す。また,メモリ性があり,超低消費電力での表示特性を有する。さらに,金属の安定な酸化還元特性に基づいて10万回を超える高い繰り返し駆動安定性を有するという。

金属や配位子の種類を変えることで,極めて多彩な色に調整できる。この材料は塗布で製膜できるため,電極基板にガラスだけでなくプラスチックフィルムも選択でき,フレキシブル調光フィルムデバイスが作製可能。今後調光デバイスとして幅広い普及が期待されるとしている。

この発明の受賞者は以下の通り。
樋口昌芳氏(物質・材料研究機構),林灯氏(九州大学),KURTH Dirk G. 氏(独ユリウス・マクシミリアン大学ヴュルツブルク)

「不純物を制御した高効率深紫外光波長変換素子の発明」は,非線形光学結晶CsLiB6O10(CLBO)の光学特性を向上させ,半導体の検査やレーザー加工に用いられる深紫外レーザー装置の実現に貢献するもの。結晶中の水不純物を熱処理と湿度の制御を組み合わせて低減させることにより,深紫外レーザー光の出力特性を大幅に改善し,レーザー光源が安定化する現象を発見したもの。

その後,特許の技術指導や国内の結晶製造企業へのライセンス活動を通し,深紫外レーザーを搭載した半導体検査装置の世界的な普及につながったとする。深紫外光は材料を分解する能力が高いため,ガラスなどの透明材料や溶融温度が異なる材質で構成される複合材料などの難加工材に対する高品質の微細加工も可能となり,次世代の深紫外レーザー加工技術への応用も期待されているという。

この発明の受賞者は以下の通り。
吉村政志氏(大阪大学,森勇介氏(大阪大学),西岡志行氏(住電半導体材料,元大阪大学),桂智毅氏(三菱電機),小島哲夫氏(三菱電機),西前順一氏(三菱電機)

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