京大ら,スズ含有ペロブスカイト太陽電池で23.6%

京都大学,東レリサーチセンター,理化学研究所,筑波大学は,スズ-鉛混合系ペロブスカイト薄膜の上下を表面修飾する手法(パッシベーション法)を開発した(ニュースリリース)。

実⽤化の観点から,ペロブスカイト半導体材料を⽤いた太陽電池では鉛の含有量を抑えた,鉛レスが強く求められている。半導体特性の観点からも,鉛の代わりにスズを⽤いることで,太陽光を近⾚外領域まで広く吸収できるという利点がある。

例えば,Bサイトの鉛の半分をスズの置き換えたスズ-鉛混合型のペロブスカイト材料では,鉛だけの場合(~840nm)に⽐べて,より⻑い波⻑(~1050nm)の近⾚外領域まで太陽光を吸収して電気エネルギーへと変換(光電変換)することが可能になる。

太陽電池の特性を向上させるためには,ペロブスカイト層から電荷を取り出す際に電圧のロスを低減できる表⾯構造の精密制御が重要と考えられている。そこで,ペロブスカイト層の上下の両⽅の表⾯を構造修飾できる材料と⼿法の開発が求められていた。

研究では,各電荷の取り出しに有利な電気双極⼦モーメントをもつように⼯夫した2つの分⼦材料(グリシンとエチレンジアンモニウム)を設計し,これらを⽤いてペロブスカイト層の上下の表⾯をパッシベーションする⼿法を開発した。

これらのペロブスカイト層の上下の表⾯パッシベーションにより,太陽電池の特性は従来の⼿法で作製した太陽電池(19.6%)に⽐べて,上⾯をエチレンジアンモニウムでパッシベーションすることで21.7%へと向上し,さらに下⾯をグリシンでパッシベーションすることで,23.6%にまで光電変換効率が向上することを⾒出した。

この光電変換効率は,スズを含むペロブスカイト半導体材料を⽤いた太陽電池として世界最⾼値となる。また,開放電圧は最⼤で0.91Vにまで向上し,ほぼ熱⼒学的な理論限界値を達成した。

今回のペロブスカイト層の上下の表⾯パッシベーションにより,なぜ開放電圧のロスが低減でき⾼い光電変換効率が得られるのかについても,そのメカニズムと効果を明らかにした。

この研究成果は今後,鉛フリー材料としてスズ系ペロブスカイト太陽電池のさらなる⾼性能化も加速するもので,30%を超える光電変換効率を⽰すタンデム型のペロブスカイト太陽電池の開発研究にも有望な研究成果だとする。

今回開発したパッシベーション法は,様々なペロブスカイト材料にも⼀般的に⽤いることができる。今後,この成果は,京⼤発ベンチャー「エネコートテクノロジーズ」にも技術移転し,開発研究を展開していくとしている。

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