東京理科大学の研究グループは,太陽光発電(PV)と走行中ワイヤレス給電(DWPT:Dynamic Wireless Power Transfer)を融合させたシステムを開発した(ニュースリリース)。
現在の日本国内における新車販売台数のうち電気自動車の占める割合は非常に低い。その要因として,EVに搭載される大容量のバッテリーに起因する高い車両価格,長い充電時間が挙げられる。
これらに対する解決策として,DWPTがある。DWPTは都市間の高速道路上での走行中に給電することにより,必要なバッテリーの容量を最小化しつつも航続距離を飛躍的に伸ばすことができる技術として注目されている。一方で,このエネルギー源としては,再生可能エネルギーを活用することが望まれる。そこで研究ではPVをターゲットとした。
PVと電力系統の接続方法として,電力系統の先にメガソーラー発電所がある場合もあるが,研究では道路に沿ってPVを大量導入して地産地消を目指したシステムをまずは検討している。
研究では,実際に太陽光発電と走行中ワイヤレス給電システムを実験用道路に敷設し,太陽光発電によって発電された電力を電気自動車に取り付けた受電システムへ給電する実験に世界で初めて成功した。
具体的には,太陽光発電と走行中ワイヤレス給電システムとの間にEDLCを挟み,なおかつインバータの出力を位相シフト制御によって一定に保つことで,最大電力点追従制御(MPPT:Maximum Power Point Tracking)と走行中ワイヤレス給電との両立を図りながらも,電力系統に接続されたシステムと同様に一定の給電電力を保てることを,屋内実験,実スケール実験の両方で示した。
また,これらの実験により今後の検討すべき事項も明らかとなり,研究グループは,将来のカーボンニュートラルを実現した世界へ一歩近づく重要な研究を行なうことが出来たとしている。