BRAIN,青色LEDによる果実発色促進装置を開発

生物系特定産業技術研究支援センター(BRAIN)は,味はよいのに、着色不良で果皮に色むらがあるリンゴや赤色系ブドウなどに青色LED光を照射することで商品価値を高める「果実発色促進装置」を開発した(ニュースリリース)。

リンゴの生産者にとって悩みのひとつに着色不良がある。着色不良は,果実が葉や枝の影になって光が十分当たらないことのほか,肥料のやりすぎや高温などが原因で発生する。

生産者は果実に太陽の光がまんべんなく当たるように葉を摘んだり,果実の向きを変えたり,地面に反射シートを敷いたりといった工夫をこらしているが,こうした作業は重労働のうえ,必ず効果が現れるとは限らない。さらに最近は,温暖化による高温で着色が進みにくいという問題もある。

開発した「果実発色促進装置」は,シンプルな箱型(50cm×40cm×15cm)で,青い光を放つチップLEDを多数配置した基板が装着された仕切り板で3つの部屋に分けられている。この仕切り板は,中に置く果実の形や大きさに応じて左右に可動できる。

低温の冷蔵貯蔵庫内にこの装置を置き,青色LEDを点灯させると,その熱と装置の吸排気口の調節によって,装置内の温度がそれぞれの果実の着色促進に適した温度に保てる。直径12cmまでのリンゴなら,一回に最大12個を処理できる。

試験により,貯蔵庫の中にこの装置を置き,装置内の温度を15℃に保ったまま,リンゴ品種「ふじ」に青色LED光を5日間照射したところ,赤みが少なかった果皮の色が赤色になり,色むらが改善された。照射により果皮に含まれる色素のアントシアニンがより多く蓄積され,着色が進んだという。

また,この装置に赤色系ブドウ品種「クイーンニーナ」を入れて,装置内の温度を15℃~20℃に保ったまま,7日間青色LED光を照射したところ,着色不良で一部が緑色だったブドウの果皮が赤色に改善され,同様の着色促進効果は他の多くの赤色系ブドウ品種でも確かめられた。操作するために高度な技術習得は必要はなく,糖度が13度以上ある果実で,着色促進効果が認められた。

この装置をコストダウンが見込める台数で量産した場合,販売価格は1台当たり26,000円程度になると試算している。最近は,スーパーやコンビニエンスストアで粒売りのブドウが販売されており,透明な袋に詰めた着色不良のブドウに小売り店で青色LED光を照射して着色促進すれば,価格を上げて販売できる可能性もある。将来的には,海外へ輸出される果実を運搬中や貯蔵中に着色促進して商品価値を高める手段にも応用できるとしている。

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