古河電工,1kW青色DDL搭載ハイブリッド発振器

古河電気工業は,青色ダイレクトダイオードレーザー(青色DDL)と近赤外(IR)ファイバレーザーを組み合わせた新型Blue-IRハイブリッドレーザ発振器「BRACE X(ブレイス エックス)」を2022年1月26日より販売する(ニュースリリース)。

xEVのパワートレインでは,厚さ2mm以上の銅バスバーの結線や,セグメントコンダクタ(SC)型モータの平角線結線溶接にレーザー溶接の適用が期待されている。

これまで同社のレーザー溶接技術は,加工時の加工飛沫(スパッタ)量や溶接可能な厚さに対して適用領域が狭いという課題があった。

新製品は,青色レーザー出力1kW(コア径300μm),IRレーザー出力3kW(コア径50μm)のレーザー発振器を搭載。従来装置(BRACEⅠ)の青色レーザー出力150Wの約7倍,IRレーザー出力1kWの3倍の高出力化を実現した。

日亜化学工業の高出力・高信頼性・高ビーム品質の青色半導体レーザー技術と,同社の光部品の合波技術を応用することで,ファイバコア径300μmで青色レーザー出力1kW,光密度1.4MW/cm2の世界トップクラスの極めて高い集光性を有する青色DDLを搭載。

この青色DDLにより,波長465nmと1070nmの2波長を同時にかつ高速に照射・制御することが可能なガルバノスキャナを適用できる。さらに,各レーザーの単独動作も可能で,IRファイバレーザー側にビームモード制御技術も適用することで,銅に加えて,鉄,ステンレスアルミ,および銅・アルミの異材接合といった加工にも対応する。

従来製品では厚さ1mm未満の純銅のレーザー溶接に対応していたが,新製品は最大出力1kWの青色レーザで銅材料を十分に加熱し,溶融池を拡大し,安定させるとともに,最大出力3kWのIRファイバレーザーにより,純銅に対して2mmを超える溶け込みを実現。これにより,xEV用部品において求められる2mm以上の純銅のレーザ溶接を実現した。

ガルバノスキャナを組み合わせることにより,平角線を適用したSC型モータのレーザー溶接による高速な結線が可能。平角線同士にギャップや高低差がある場合でも結線に対しても,溶接速度0.1秒/点の目標溶接速度を保てる。

また,青色レーザーの入熱をコントロールすることで加工の際に発生するスパッタを抑制できる。全体のレーザー出力を低減できることから,SC型モータの結線溶接時に絶縁被膜への熱影響を低減するとともに,同社の6kWファイバレーザーと比較して消費電力を約30%削減できる。

なお,この製品は2022年3月より千葉事業所のアプリケーションラボに導入するという。

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