紫光技研は,独自技術のLAFi(Luminous Array Film)構造のプラズマ方式水銀フリー深紫外線面光源製品UV-SHiPLA(UVシプラ)について,発光効率を大幅に向上したと発表した(会社HP)。
波長域UVCで殺菌や物質分解に高い効果を発揮する260nmブロードバンド(220nm-320nm域)発光製品においては,より高い発光出力が求められている。
今回,同社は短波長側(220nm~260nm域)の光取り出し効率の改善と,ガラスチューブ素子にて形成する放電空間サイズを最適化することにより,発光効率を大幅に向上させることに成功した。
これにより,消費電力を増やすことなく発光出力を1.5倍に改善できるという。また,従来にない短波長側のブロード発光を強化したことで,さらなる殺菌・分解能力向上が期待できるとする。8×6cm標準サイズでは,これまでの300mW標準出力品と500mW高出力品に加えて,新たな新製品として750mW次世代高出力型を来年1月初めより販売を開始する。
LAFiは面光源のため,小面積から大面積まで幅広い照射面に対応し,タイリングによる拡張が可能。フレキシブルなため,湾曲化や円筒加工が可能で,対象物を囲む陰のない照射ができる。
Xeプラズマ分子線の172nmで励起する蛍光体発光により様々な波長を実現し,UVC,UVB,UVAの各波長帯をカバーする。UVCブロード発光により各種の菌・ウイルスに対して効果的な不活化が可能。
また,面全体で熱を逃がすため放熱が容易で小型化,低コスト化が可能。電源投入後すぐにフルパワー安定発光し,点灯制御により省エネ運転ができる。その他,拡散板が不要で,近距離でも均一な照射が可能,高い照射効率,発光面サイズ・形状,波長帯域を応用に合せて設計可能といったメリットがあるとしている。
こうした特長により,小型軽量のハンディ除菌器(電池駆動),流水殺菌,空気殺菌,表面殺菌の各殺菌装置への適用,工場排水中の有機物分,医療施設等からの排水に残留する薬品・化学物質の分解といったアプリケーションを想定している。同社では面サイズや発光波長の異なる特注品についても,引き続き受注生産対応していく。
なお,同社は。8×6cm次世代高出力型UVC面光源パネルと,開発中の新デバイスを11月17日~19日に東京都立産業貿易センター(浜松町)にて開催される「光とレーザーの科学技術フェア2021」にて展示する。