2026年ファインセラミックス材料市場,366億ドルに

富士経済は,半導体産業の活況や5G通信関連の普及により安定的・着実な需要が期待されるファインセラミックス材料・製品の世界市場を調査し,その結果を「2021年ファインセラミックス材料・製品市場の展望」にまとめた(ニュースリリース)。

それによると,ファインセラミックス材料の2020年世界市場は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け,上期に多くの産業分野で生産活動が低迷したことにより需要が減少した。

下期には各国の産業が回復に向かったものの,上期の落ち込みの影響が大きく,前年比2.5%減となった。市場の6割以上を占める酸化チタンが自動車や建築物の一時的な需要減少により,単価が低下したことも影響した。2021年は自動車や半導体などの需要回復による市場拡大に加え,原料価格や船賃の高騰から値上げされた材料が多いことから,前年比二桁増が見込まれるという。

今後は,5G通信やxEVの普及によって放熱部材関連の需要増加が期待されるほか,塗料・インキなどで汎用的に使用される酸化チタンが新興国の経済発展を背景に堅調に伸びていき,2026年には2020年比29.0%増の366.0億ドルを予測する。なお,酸化物系と非酸化物系では,酸化物系の比率が高いものの,非酸化物系は放熱部材や半導体での採用が多いことから,高い伸びが期待されるという。

また,2020年のファインセラミックス製品世界市場は,テレワークの普及や巣ごもり需要の増加,5G通信の商用化により,電子部品や半導体・FPD製造装置部品を中心に市場が拡大した。2021年は,引き続き電子部品や半導体・FPD製造装置部品が好調だとする。

今後はIoTや5G通信の進展により通信機器だけでなく自動車や民生機器でも半導体や電子部品の需要が増加することに加え,環境対応の進展により自動車・機械部品が伸びることで,2026年には2020年比48.2%増の426.2億ドルを予測した。

電子部品では,積層セラミックコンデンサー,チップ抵抗器,水晶振動子・水晶発振器が電子機器に欠かせない部品であることや,自動車電動化や車載電装品の増加により自動車1台あたりの搭載数が増え,伸びていくとみている。

半導体・FPD製造装置部品では,5G通信の普及に伴い通信量が増えることで半導体,特にエッチングプロセスの多い3D NANDの需要が増加しており,今後も高い伸びが予想されるという。

注目市場である酸化アルミニウム(アルミナ)は,産業分野で最も広く使用されるセラミックスであり,耐火物・陶磁器などの原料となる汎用アルミナ,電気絶縁性を有する低ソーダアルミナ,低摩耗性や機械的強度の高い易焼結アルミナ,樹脂のフィラーとして使用される球状アルミナ,リチウムイオン二次電池部材やLED用サファイア基板に用いられる高純度アルミナ,吸着剤や乾燥剤などに使用される活性アルミナを対象とした。

2020年の市場は,新型コロナの影響で耐火物,自動車部品向けを中心に縮小したという。下期には各国の産業が回復に向かい,2021年から2022年にかけては,5G通信やxEVの普及,主要用途である耐火物向けの回復および放熱基板や放熱フィラーなどの伸びにより,大幅に拡大するとみる。

一方で,カーボンニュートラルの取り組みとして,大手鉄鋼メーカーが減産の方針を打ち出していることから,耐火物向けが頭打ちになることも想定し,長期的には市場の伸びは緩やかになるとみる。

用途別では,自動車部品向け,自動車触媒用担体向け,自動車の電装化やドローンなど新規デバイスの普及によるエレクトロニクス向けなどが伸びるとみている。

窒化アルミニウムは,熱伝導性,電気絶縁性に優れており,放熱や吸熱を目的とした材料に使用される。2020年の市場は,放熱基板向けが減少したが,半導体産業の活況を受けて半導体製品装置部品向けが増加したことで,全体としては5%程の縮小にとどまったという。

2021年以降は,自動車向けの回復,5G通信やxEVなどの普及によって市場は拡大し,特に放熱フィラー向けが好調に推移するとみる。エリア別の需要では,半導体製造装置部品や放熱基板は参入する日系メーカーが多いことから,日本の比率が高いという。

このほか,韓国,中国,欧州などでも一定の需要があり,近年は中国の比率が高まっている。また,用途別では放熱基板ではパワー半導体向けが主だが,近年はヘッドランプなどのLEDパッケージ向けが伸びているとしている。

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