阪大ら,THzでGaNウエハーを非破壊・非接触評価

大阪大学と日邦プレシジョンは,キャリア濃度が1020cm-3に達する窒化ガリウム(GaN)ウエハーのキャリア濃度および移動度を,非接触・非破壊の手法で評価することに成功した(ニュースリリース)。

GaNは技術的に重要な半導体であり,多くの光エレクトロニクスやパワーデバイスの基本的な部材の1つとなっている。

低抵抗GaNウエハーの需要は高く,高電圧で高周波数の応用に対して不可欠な,縦型GaNパワーデバイスの性能を向上させるため,活発に研究開発が行なわれている。GaNデバイスの開発では,特に,1019cm-3かそれ以上のキャリア濃度に対する電気特性の非破壊検査が強く望まれている。

研究グループは今回,テラヘルツ波による半導体の非破壊評価において測定可能な,キャリア濃度領域を広げる技術を開発した。テラヘルツ波(THz波)は,物質内の自由電子がテラヘルツ波を吸収するため,半導体の電気特性を見積もることができる。

テラヘルツ時間領域エリプソメトリでは,直線偏光のテラヘルツ波パルスを試料に入射し,時間の関数として反射したテラヘルツ波の電場強度を測定する。具体的には,入射面に平行な方向(p)と垂直な方向(s)に偏光した反射波に着目し,このp-およびs-偏光成分の割合からキャリア濃度および移動度の評価を可能とする誘電率を取得する。さらにこの手法はテラヘルツ時間領域分光法と違い,リファレンス測定が不要という大きな利点もあるという。

日邦プレシジョンが開発したテラヘルツ時間領域エリプソメータを用いてGaN半導体の評価を行なった。この装置では偏光子-試料-検光子という光学配置を用い,検光子の角度を0°から360°まで15°ステップで変えながら波形を取得する。

このマルチアングル技術はテラヘルツ時間領域エリプソメトリに新たに導入され,検出されるテラヘルツ電場の強度と位相からシステムエラーを取り除くことにより,誘電率を精度良く測定することを実現したとする。

この結果,特に,非常に高い伝導率の半導体に対して,優れた精度でキャリア濃度および移動度の決定が可能になることを示した。この技術によって,測定可能範囲は約1020-1021cm-3にまで広がったという。

この装置はテラヘルツ波が透過しない物質でさえも,誘電率を精度良く測定するとともに,この手法は物質内の自由電子を反映したテラヘルツ領域の誘電率から伝導特性を評価することから,研究グループは,GaNだけでなく,SiCや他の半導体の評価にも有効だとしている。

その他関連ニュース

  • 神大ら,SiC中の高密度窒素層のふるまいを予測 2021年12月02日
  • 立命大,SiCの高効率研磨技術を開発 2021年12月01日
  • NEDOプロ,4インチGaN基板の成長を確認 2021年11月25日
  • 京大,SiCトランジスタ性能を6~80倍超向上 2021年10月27日
  • 名大,AI応用溶液成長法で6インチSiC基板作製 2021年10月27日
  • 東大,グラファイトの3次元的な熱流制御に成功 2021年10月25日
  • NTTら,再帰反射アレーによる双方向通信に成功 2021年10月20日
  • JST,ロータス金属による沸騰冷却技術を成功認定 2021年09月21日