京大ら,テラヘルツ電磁波の波形計測と制御に成功

京都大学,大阪大学,ロームは,共鳴トンネルダイオードを用いた小型の半導体テラヘルツ発振器から放射されるテラヘルツ電磁波の波形計測と制御に成功した(ニュースリリース)。

次世代の無線通信技術(Beyond 5Gあるいは6G)で超高速・大容量通信を実現するためにはテラヘルツ周波数帯の電磁波の利用が欠かせない。そのため,キーデバイスである小型の半導体テラヘルツ発振器の研究開発が世界中で活発に行なわれている。

ところが,オシロスコープなどの電子計測器ではこのような超高速振動を観測することはできず,その振動波形(位相)を計測し,制御することは困難だった。

電磁波の位相の様子は無線通信において情報伝達に利用できるほか,位相制御を行なうことでビーム走査を実現することも可能。しかし,位相を計測し,制御する技術が未発達なため,テラヘルツ発振器ではこれらの機能を実現できていない。

研究グループは,光技術を応用することでこの課題を解決した。光技術を用いたテラヘルツ電磁波の超高速計測技術はすでに確立されていたが,半導体テラヘルツ発振器に適用することはこれまで不可能とされてきた。

その大きな原因は,半導体テラヘルツ発振器の周波数揺らぎにある。そこで研究グループは,注入同期現象を利用することで共鳴トンネルダイオードの発振周波数を固定して揺らぎを減らすことで,放射されるテラヘルツ電磁波の振動電場波形を計測することに成功した。

その結果,放射されるテラヘルツ電磁波は注入同期に用いた信号とは逆の位相で振動していることがわかった。また,この振る舞いはメトロノームのような力学系の同期現象から生物の概日リズムまで,幅広い同期現象を普遍的に記述する非線形振動子の同期理論で説明できることも明らかになった。

さらに,このことを利用し,注入同期に用いる信号の位相を操作することで半導体テラヘルツ発振器から放射されるテラヘルツ波の位相を制御できることを示した。

研究グループは,今後,位相情報を利用した超高速・大容量無線通信やスマートセンシング技術の実現につながることが期待されるとしている。

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