キヤノンと加レドレン・テクノロジーズは,キヤノンがレドレンの株式を取得し,完全子会社化すると発表した(ニュースリリース)。
キヤノンは,2021年からの新5カ年経営計画において,産業別グループへの全社的組織再編を行ない,主要グループの一つである「メディカルグループ」の事業競争力強化を図っている。
レドレンは,医療用画像診断機器やセキュリティ検査装置に用いられる,Cadmium Zinc Telluride(テルル化亜鉛カドミウム:CZT)半導体検出器モジュールの開発・製造において世界トップクラスの技術を有するとする。
一般的なX線CT装置では,被写体を透過する際に生じるX線のコントラストをシンチレーターで光に変換し,その光をフォトダイオードでとらえるが,PCCTでは照射されたX線のフォトン(光子)の数を半導体センサーでカウントすることでX線を測定する。
それぞれのフォトンが持っているエネルギーによって半導体内で発生する電荷の量も異なるため,その違いを識別することで高精度に物質を弁別することができる。
この技術を,次世代型のコンピュータ断層撮影装置(CT)として注目されるPhoton Counting CT(PCCT)に用いることで,体内の特定の物質の鮮明な画像化が可能になると見込まれており,従来技術では困難とされてきた,非常に小さな病巣の早期発見や,細かな病変の把握が可能になると期待されるという。
さらに,従来のCTと比べ,少ないX線照射でノイズの少ない画像取得が可能になるため,被ばく量の大幅な低減による患者の身体的負荷の軽減と,撮影画像の高解像度化による診断精度の向上が期待できるとしている。
キヤノンは今回の連結子会社化により,キヤノンメディカルシステムズを中心に市場競争力のあるシステムとしてのPCCTの開発を加速させ,CTをはじめとするシステム事業の強化を目指す。
同時に,CZT半導体検出器モジュールを全世界の医療用機器メーカーに供給できることとなり,メディカル分野におけるコンポーネント事業が強化できるとしている。