富士経済は,技術的な完成度が高まったことで,盛り上がりをみせるFA分野の三次元画像処理システムの世界市場を調査し,その結果を「3D Vision System 市場の全貌と将来性に関する考察」にまとめた(ニュースリリース)。
それによると,三次元画像処理システムの世界市場は,2020年の市場は新型コロナウイルス感染症流行の影響による経済停滞と設備投資の減少から縮小し,2,370億円となった。システムの性能や使い勝手が向上していることから,2021年に市場は回復し,その後も拡大を続け,2025年には3,914億円が予測する。
方式別では,カメラとプロジェクターを組み合わせた構造化照明方式が市場の50%近くを占めるという。実装基板の検査機器や3Dロボットビジョン,3Dデジタイザーなどで採用されており,これらの機器や5G通信のアプリケーションの増加により,市場は拡大するとみる。
また。X線を活用したCT方式は電機分野,自動車分野を中心に採用されている。レンズ焦点方式は計測用途を中心に安定した需要があり,光切断方式は高精度であることから,検査用途を中心に一定の市場規模を有する。
なお,ToF方式は,数量ベースでは半数以上を占めるものの,低価格であることから市場の5%にも満たない。しかし,物流分野でのピッキング用途を中心に急速に採用が増えており,方式別では2020年に唯一拡大したという。
採用業種別では電機分野の割合が大きい。実装基板では3Dでの検査が標準であり,導入が進んでいる。薄型化や小型化など,形状の複雑化が進むことで,3Dでの検査・計測の需要はさらに高まっていくとみる。
自動車分野では,部品の検査・計測,ロボットガイダンス(ロボットによるピッキング・組立時の位置補正など)などで採用されている。傷の深さやゆがみなどの変形具合の確認や溶接痕の形状を判定するための3Dニーズが高いという。
物流分野は,低価格なToF方式が中心のため他と比較し市場は小さいものの,ピッキング用途で採用が増加しており,今後の市場拡大が期待されるとしている。