ニコンとデジタル天体望遠鏡を手掛ける仏Unistellar SASは,デジタル天体望遠鏡に関する共同開発基本契約を締結した(ニュースリリース)。
Unistellarは2015年に設立されたデジタル天体望遠鏡を開発・製造・販売する企業。同社のデジタル天体望遠鏡は,GPSで自らの位置を把握し,視野にある天体と内蔵の座標データベースを比較することで,ターゲットの天体を自動で捕捉できる「自律フィールド検出技術」を搭載している。
天体を探す手間を省いたこの技術と,スマートデバイス上の専用アプリケーションにより,専門知識を持たない人でも直感的かつ簡単に望遠鏡を操作でき,容易に天体観測を行なうことができる。
また,「エンハンストビジョン技術」に基づき,観測中の画像に対して画像処理を常に施すことにより,夜空が明るく光害の大きい都市部などにおいても,銀河や星雲,彗星などを図鑑同等の色彩で鮮やかに写し出すことができる。
さらに,専用アプリケーションを介して,世界中の天文家と双方向でコミュニケーションを取ることができ,観測したデータを共有することで,市民科学者として最先端の研究に貢献することも可能になる。
ニコンは,小口径機種から天文台に設置される大型機や人工衛星搭載の光学系までさまざまな天体望遠鏡を製造してきた。現在は,天体望遠鏡の製造・販売は行なっていないが,超広視界の天体望遠鏡アイピース「NAV-HW」シリーズのほか,天体観測に最適な双眼鏡「WX」シリーズを提供している。
今回の共同開発は,両社が持つ技術やノウハウなどのリソースを組み合わせることにより,人々に宇宙への興味や関心を高め,科学の発展に寄与することを目的として,コンシューマー向け天体観測の分野でソリューションを提供していくものだとしている。