九州大学発ベンチャーのKOALA Techは,Beyond Next Venturesをリード投資家とし,既存投資家のSony Innovation Fund,QBキャピタル,田中藍ホールディングス,新規投資家のFFGベンチャービジネスパートナーズ,新生企業投資,テックアクセルベンチャーズ,SMBCベンチャーキャピタルより,総額4億円の資金調達を完了したと発表した(ニュースリリース)。
同社は,九州大学で世界に先駆けて実現された有機半導体レーザーダイオード(Electrically pumped Organic Semiconductor Laser Diode:OSLD)技術の実用化を目指して2019年3月に設立された。
有機半導体レーザーは,無機半導体レーザーでは困難であった「可視~近赤外域の任意の波長でレーザー発振」を可能とする。特に,近赤外レーザーは,今後,生体認証,光学センサーなどの分野で新たな応用展開が期待されている。また,柔らかい有機材料を使うことでフレキシブルデバイスへの利用にも適している。
同社では一日でも早い社会実装を目指し,これまでNEDO-STSをはじめとする各種助成金制度を利用し,近赤外有機半導体レーザーの原理実証(POC)を進めてきた。また,可視・近赤外域の有機半導体レーザーダイオード技術の開発に加え,有機レーザー素子の長寿命化に向けた新たな有機レーザー材料の開発にも取り組んでいる。
同社では,調達した資金をもとに,有機半導体レーザーダイオードのエンジニアリングサンプルの製造・販売,アライアンスの構築,人材採用を加速させ,有機EL素子(OLED)をはじめ,有機電子デバイスプラットフォームに高い互換性をもつレーザー光源を実現することにより,有機半導体デバイス分野における顧客へ新しいソリューションを提供していくとしている。