三菱ら,50W深紫外ピコ秒レーザー加工機を開発

三菱電機,大阪大学,スペクトロニクスは,高速に微細加工できる「高出力深紫外ピコ秒レーザー加工装置」の試作機を開発した(ニュースリリース)。開発の一部は「OPIE’21」(2021年6月30日~7月2日,於パシフィコ横浜)に出展する。

波長300nm以下の深紫外レーザーは,従来のレーザー加工装置に用いられる近赤外レーザーなどと比べ材料を分解する能力が高く,ガラスなどの透明材料や溶融温度が異なる樹脂とガラス材で構成される難加工材料にも適用できる。

開発した深紫外レーザーは,半導体レーザーから出た光(1064nm帯)を増幅器に通して高出力の基本波レーザーを発生し,さらにCLBOなどの結晶に通すことで,266nm帯の深紫外線を発生する。一方,高出力のレーザーを発生させようとすると,波長変換する結晶やレーザー結晶,各種光学素子で発生する熱によってビームが歪むという問題があった。

そこで研究グループは,スペクトロニクスが開発した半導体レーザーを種光源とする100W級の短パルスレーザーを基にし,レーザー結晶内の熱による歪みの分布を考慮してレーザー結晶の配置してレーザービームの歪みを抑制し,三菱電機が開発した200W以上の増幅器を使って出力を増幅し,300Wのビームを発生する基本波レーザー光源を開発した。

高出力の深紫外レーザーを長期間安定に発生させるために,深紫外レーザー発生用結晶から切り出す大型波長変換素子が必要となる。そこで,大阪大学が中心となり,内部欠陥の少ない世界最大級(重量1.5kg)の超大型結晶を製造する技術を開発した。

基本波レーザー光源と深紫外レーザー発生用結晶を組み合わせ,従来出力の10倍となる平均出力50Wの深紫外レーザー光源を実現し,現商用化されている5Wの深紫外レーザー加工装置と比べ,加工時間を1/10に短縮できるようになった。

今回,レンズをミラーに置き換えた反射型光学系を開発した。高出力の深紫外レーザーでは,レンズで熱が発生してビームが歪む課題があったが,ビームの歪みを透過型光学系の1/15にし,直径最小4μmの微細穴をガラス基板に形成する精密加工が可能になった。

ピコ秒パルスの基本波レーザー光源は,スペクトロニクスが,ノイズが少なく,増幅率の高いファイバー増幅器とバルク増幅器とを組み合わせたハイブリッドMOPA方式により開発した。超高速電流パルス発生回路により半導体レーザーを直接駆動し,任意のタイミングでピコ秒レーザーパルスを発生させ,自在にパターニング加工などができる。

この光源により,開発した大型波長変換素子を高い効率で利用することが可能となり,従来技術では困難であった深紫外ピコ秒レーザーの高出力かつ長期間安定動作を実現したとしている。

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