新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は,先導研究によって15年から20年以上先の新産業創出に結びつく革新的なマテリアル技術のシーズを育成し,将来の国家プロジェクトなどにつなげる「マテリアル革新技術先導研究プログラム」として,8件の研究開発テーマを採択した(ニュースリリース)。
新型コロナウイルス感染症の拡大や世界規模の異常気象,各国企業・政府間での技術覇権争いの激化,持続可能な開発目標(SDGs)への意識の高まりなど,イノベーションを巡って大きな情勢変化が起きていることを踏まえ,政府は2020年7月に「統合イノベーション戦略」を閣議決定した。ここでは,日本が強みを有するものの競争力が失われつつあるマテリアル分野を,戦略的に推進していくべき重要な技術基盤と位置付けており,2021年4月には「マテリアル戦略」が策定されている。
今回のプログラムはこれを受けたもの。採択した8件の研究開発で「プロセスインフォマティクス技術」や「スーパーファインセラミックス技術」,「革新的な資源マテリアルプロセス技術」,「ウイルス感染症対策向け新規マテリアル関連技術」に取り組む。これにより,データ駆動型ものづくりや,ポスト5G技術の中核マテリアル,サプライチェーンの安定化・国内化,迅速なウイルス対策といったイノベーションの実現を目指す。
今回,新たに研究開発に着手したテーマは以下の8件。このうち光学関連では「生体無害ウイルス不活化230nm深紫外LEDパネルの研究開発」(受託予定先:ファームロイド,理化学研究所)が採択された。
テーマ区分 | 採択テーマ | 委託予定先 |
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A | SiCバルク成長技術の革新に向けたプロセスインフォマティクス技術の研究開発 | 一般財団法人電力中央研究所 国立大学法人東海国立大学機構 (名古屋大学) 国立研究開発法人理化学研究所 Mipox株式会社 アイクリスタル株式会社 |
水分解水素製造用光触媒結晶のマテリアルDX研究開発 | 国立大学法人信州大学 デクセリアルズ株式会社 |
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データ駆動科学によるスマートスケーラブルケミストリーの確立 | 国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学 JSR株式会社 学校法人慶應義塾 |
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B | ファインセラミックスのプロセスインフォマティクス基盤構築 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 一般財団法人ファインセラミックスセンター 株式会社 村田製作所 京セラ株式会社 日本特殊陶業株式会社 日本ガイシ株式会社 一般社団法人 日本ファインセラミックス協会 |
C | 濃縮海水を原料とするMgのグリーン新製錬技術開発 | 学校法人関西大学 株式会社戸畑製作所 国立研究開発法人産業技術総合研究所 国立大学法人 東京大学 一般社団法人日本マグネシウム協会 |
D | 人工ルシフェリンによるウイルス検知・可視化 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
空間内ウイルスを強力分解する革新素材の研究開発 | 東レ株式会社 学校法人麻布獣医学園 麻布大学 |
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生体無害ウイルス不活化230nm深紫外LEDパネルの研究開発 | 株式会社ファームロイド 国立研究開発法人理化学研究所 |