岐阜薬科大,光曝露による角膜上皮保護機構を解明

岐阜薬科大学の研究グループは,ラジカルの消去剤であるラジカルスカベンジャーNSP-116が,過剰な光曝露による角膜上皮障害に対して保護効果を示すことを見出した(ニュースリリース)。

角膜上皮は私たちが物を見るときに,眼の中で最初に光にさらされる組織であり,過剰な光,特に紫外線の曝露が電気性眼炎などの眼傷害を引き起こすことが知られている。

また近年普及しているタブレットなどの端末には発光ダイオードが使用されており,それらから発せられる光にはエネルギー量の高い青色光が多く含まれているが,それらによる角膜への影響についてはほとんど明らかにされていなかった。

光による細胞障害にはラジカルによる酸化ストレスが関与するため,ラジカルスカベンジャーが過剰な光から細胞を守る働きが期待できる。そこで研究グループはラジカルスカベンジャーとして働くNSP-116という化合物を用い,光による角膜からの保護について検討を行なった。

角膜上皮培養細胞系を用いた実験において,UV-Aと青色LED光による角膜上皮細胞障害に対してNSP-116は細胞死を抑制した。また,光によって生じたミトコンドリアの異常やp38 MAPKなどのストレス応答経路の活性化に対しても,NSP-116は保護的に作用したという。

最後に,研究グループは青色発光ダイオード光曝露によるマウス角膜障害の新しい実験系を確立し,NSP-116が角膜上皮細胞の細胞死を抑制することを実証した。

研究グループは,今回の研究成果により,光曝露による角膜上皮障害にラジカルスカベンジャーが有効である可能性が示されたとしている。

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