港空研ら,グリーンレーザースキャナーで海底計測

海上・港湾・航空技術研究所(港空研)は,ドローン用レーザースキャナーのアミューズワンセルフが開発した,ハイブリッドドローンに搭載したグリーンレーザースキャナーを用いることで,効率的に高精細な海底地形を計測できることを実証した(ニュースリリース)。

海底地形の計測において,水中透過性の高いグリーンレーザー(532nm)によるLiDARが注目を集めている。

グリーンレーザースキャナーはこれまで大型で,ヘリコプター等に搭載していた。浅海域の海底地形計測においては,砕波によって生じた気泡がレーザーの海底への到達を妨げることから,複数回のフライトや高いオーバーラップ率による大量の計測点が必要となるが,コスト面から難しかった。

アミューズワンセルフは国土交通省革新的河川管理プロジェクトにおいて,ドローンの高い機動力で高精細な地形データを取得するシステムを提案しているが,ドローンの飛行時間はバッテリーにより制約があり,計測箇所に飛行するまでにバッテリーを消費してしまうという難点があった。

そこで今回,新たに開発したハイブリッドドローンを使用することで,グリーンレーザースキャナーを搭載した状態で2時間以上の飛行を可能にした。このハイブリッドドローンは,ガソリンを燃料とした発電機によってバッテリーに給電するレンジエクステンダーを採用し,長時間のフライトが可能にした。

実証試験は沖縄県竹富町西表島北部の海域を対象に実施した。約1時間の計測を6回実施し,燃料消費量から想定される1回の最大飛行可能時間は2時間以上となった。結果として,対象域中央部においては全長約2.6km,幅1kmの範囲を計測し,東西両端部においては,それぞれ全長約1km,幅約550mと幅約350mの範囲を計測した。

計測後,PPK-GNSSとIMUによる最適軌跡解析を行なうことで,スキャナーの位置と姿勢を高精度に処理し,高さ精度±2cm以内の高精度な点群データを得た。サイドラップ率が不十分な箇所があったものの,計測されている範囲では非常に高密度で地形が計測された。

水面も含めた全ての計測点の平均間隔は約12cmであり,陸上から浅海域にかけての連続的な地形やサンゴ礁の複雑な地形なども詳細に把握ができる。なお,今回の計測によって得られた最大水深は約20mだった。

研究グループは,このドローンに搭載されたグリーンレーザースキャナーによって沿岸域の詳細な地形が明らかになれば,沿岸・海洋分野における様々な課題のブレイクスルーになるとしている。

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