2024年円偏光板用位相差フィルム市場,352億円に

富士キメラ総研は,エレクトロニクス関連の機能性高分子フィルムの市場を調査し,その結果を「2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編」にまとめた(ニュースリリース)。

調査書では半導体分野の機能性高分子フィルムの世界市場について,バックグラインドテープ,ダイシングテープ,ダイボンドフィルム,半導体封止用離型フィルムを対象とした。

半導体の後工程で必要な材料であるため安定した需要が続いているといい,2020年の市場はテレワーク実施企業の増加や巣ごもり需要に伴うノートPCやタブレット端末,Wi-Fiルーター,サーバー市場などの好調により,シリコンウエハーの需要が増加していることから数量ベースでは拡大しているという。しかし,価格の下落や為替の影響により金額ベースでは微減するとしている。

今後はデータセンター向けのメモリーや車載でのシリコンウエハーの需要増加に伴い,バックグラインドテープやダイシングテープを中心に堅調な伸びを予想。2024年半導体分野の機能性高分子フィルム市場は2019年比6.4%増の563億円を予想する。

実装分野の機能性高分子フィルムの世界市場は,非導電性接着フィルム,異方導電性フィルム,FCCL(2層・3層),低誘電用FCCL基材,FPC用離型フィルム,層間絶縁フィルム(アディティブ基板用),カバーレイフィルム,ドライフィルムレジスト,フィルム状ソルダーレジストを対象とした。

各種基板向けの構成部材や工程用フィルムとして採用されるため,市場は最終製品であるスマートフォンや自動車などの生産動向の影響を受けるという。2020年は一部の品目で縮小がみられたものの,需要は堅調であり,今後も市場拡大を予想する。

市場規模の大きいドライフィルムレジストは,2020年はスマートフォンや自動車市場が低調なため使用される基板の需要減少にともない縮小するとみるが,2021年以降はそれら最終製品の市場拡大とともに伸びるとみる。

FCCL(2層・3層)やカバーレイフィルムは,フレキシブルプリント基板(FPC)の需要に連動し,今後は5G通信対応スマートフォンの普及に伴い,堅調な伸びを予想する。低誘電用FCCL基材は,市場規模は小さいものの,5G通信対応スマートフォンを中心とした低誘電ニーズの増加によって大きく伸びており,今後の伸びをけん引するとみている。

LCD・OLED分野の機能性高分子フィルムの世界市場は,偏光子保護フィルム,表面処理フィルム,バックライト用光学フィルム,プロテクトフィルム,FPD用離型フィルム,円偏光板用位相差フィルム,QDシート,耐屈曲性フィルムを対象とした。
 
LCD関連は,2020年はTVやPC,タブレット端末市場が好調なため,数量ベースでは偏光板の構成部材である偏光子保護フィルム,表面処理フィルム(LCD向け)が大きく伸びており,今後も需要増加を予想する。

しかし,金額ベースでは低価格製品を展開する中国メーカーのシェア上昇により,ユーザーからの値下げ要求が厳しくなっているため,バックライト用光学フィルムや偏光子保護フィルム,表面処理フィルム(LCD向け)などは微減を予想する。OLED関連は,OLEDパネル市場の拡大が続いており,円偏光板で使用される円偏光板用位相差フィルム,表面処理フィルム(OLED向け)などの需要が増加しているという。

調査書では,OLEDパネルに搭載される円偏光板に組み込まれる位相差フィルム(波長板)に注目した。OLEDパネルは,従来スマートフォン向けの中小型が中心であったが,近年はTV向けも伸びており,連動して市場は拡大している。

延伸フィルムタイプ,液晶コーティングタイプ,延伸フィルム+液晶コーティングタイプに分けられ,従来は延伸フィルムタイプや延伸フィルム+液晶コーティングタイプが主流であったが,液晶コーティングタイプが「iPhone X」などで採用された2017年以降大きく伸びており,現状は大部分を液晶コーティングタイプが占めているという。

OLEDディスプレーは薄型化ニーズが高いため,新規設計では液晶コーティングタイプの採用が主流であり,今後も市場拡大をけん引するとして,2024年の市場は2019年比2.5倍の352億円を予測した。一方,コスト削減を目的に低価格な延伸フィルムタイプに需要が回帰する可能性があり,その場合は市場拡大のペースの抑制が懸念されるという。

低誘電用FCCL基材(LCPフィルム,MPIフィルム)の世界市場は,低誘電用FCCL(フレキシブル銅張積層板)の基材となる低誘電樹脂フィルムとして,近年採用が増えているMPI(変性ポリイミド)フィルム,LCP(液晶ポリマー)フィルムを対象とした。一般的なFCCLに用いられるPIよりも誘電率・誘電正接が低い特性がある。

MPIフィルム,LCPフィルムともにスマートフォンのアンテナ用同軸ケーブル代替FPC向けなどで採用が広がっているという。特に「iPhone」で採用が進んだことにより,LCPフィルムが先行して市場拡大をけん引した。近年は他のスマートフォン機種にも採用が広がったことから順調に伸びているとする。

MPIフィルムは2019年から本格採用が始まり,急速に需要が増えているという。今後は中国スマートフォンメーカーへの供給が増加し,2021年以降も大幅な伸びを予想する。特に今後は5G通信の本格普及に伴うスマートフォンでの低誘電ニーズの拡大により,需要増加が期待されるという。

誘電特性やコスト面などから,Sub6の5G通信対応製品ではMPIフィルム,ミリ波の5G通信対応品製品ではLCPフィルムの採用が進むと予想する。また,低誘電用FCCL基材としては,MPIやLCP以外にも,フッ素フィルムやCOPフィルムなどが実用化に向けてサンプル供給が進められているという。調査書では2024年低誘電用FCCL基材市場は405億円,2019年比74.6%増を予測している。

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