京大,短パルス高出力のフォトニック結晶レーザーを開発

京都大学は,短パルス(数10ps)かつ高出力(数10~100W以上)で動作可能なフォトニック結晶レーザーを開発した(ニュースリリース)。

研究グループは,フォトニック結晶レーザーの特徴を生かした新しい短パルス・高ピーク出力動作を実現するためのコンセプトとして,光の増幅作用を持つ利得領域の周囲に負荷として作用する吸収領域を2次元的に配置したレーザー構造を考えた。

フォトニック結晶の形状に二重格子フォトニック結晶構造を用い,500µmΦ以上の大面積でも安定して一つの基本モードで動作できるようにした。この構造では,吸収領域を導入することで,レーザー発振が生じにくくなるため,発振が始まるまでに通常より多くのキャリアが利得領域に蓄積される。

そして,発振が生じると一気に吸収領域の吸収が飽和し,蓄えられていた多くのキャリアが瞬時にレーザー光に変換され,Qスイッチング動作が起こり,短パルスで高ピークな出力動作を安定して得られるようになる。

このフォトニック結晶レーザーは,吸収領域の形状や配置に2次元的な自由度がある。例えば,吸収領域をリング状の形状・配置とすることで,発振の不安定化を引き起こす高次モードに対して光の損失を大きくして発振を防ぎ,一方で,狙った基本モードのみに対しては,Qスイッチング動作が適切に生じるような吸収の大きさに調整することで,基本モードで安定したパルス発振を得ることができる。

さらに,電流を連続的(十分に長い時間)に注入すると,Qスイッチング動作が何度も繰り返し起こり,短パルス・高ピーク出力動作が繰り返し得られるようになる。また,電流を数ナノ秒程度の短い時間のみ流すと,短パルス・高ピーク出力を一回のみ得ることも可能となり,電流を流すタイミングをさまざまに変化させることで,望んだタイミングで短パルス・高ピーク出力を出射することも可能になるという。

このコンセプトに基づいたフォトニック結晶レーザーを作製したところ,3Aの電流注入で20W級のピーク出力を得て,利得領域と吸収領域を2次元的に分布させるという新しいコンセプトの優位性を実証した。利得領域と吸収領域の設計をさらに深化させ,直流電流30Aを注入した場合,パルス幅40ps,ピーク出力300W級の短パルス・高ピーク出力発振が得られることを明らかにした。

また,ナノ秒程度の短い時間幅の電流注入により駆動した場合,ピーク出力300W級の短パルス発振を,任意のタイミングで出射することが可能であることも確認した。なお,活性層を最適化することで,パルス幅のさらなる短縮(10~20ps未満)や,ピーク出力のさらなる向上(>kW級)の実現も期待されるとしている。

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