浜松ホトニクスは,フォトルミネッセンス(Photo Luminescence:PL)計測法により,ウエハー上のマイクロLEDの外観,輝度,発光波長の異常を高速で検査できる「MiNY(マイニー)PL マイクロLED PL検査装置 C15740-01」を開発した(ニュースリリース)。価格は1億円。
1辺が100μm以下のLEDであるマイクロLEDは,液晶や有機ELなどの従来のディスプレーと比べ高輝度,低消費電力,長寿命であることから,次世代ディスプレーとして今後の市場拡大が見込まれており,良品率向上に向けた研究開発が進められている。
通常のLEDは,可視光の画像による外観検査に加え,ウエハー上の数万個のLEDに一つ一つ針を当てて通電し,実際に光らせることで発光特性を検査(EL検査)している。
一方,マイクロLEDは1枚のウエハに数百万個も形成されるため,EL検査による全数検査は現実的ではない。また,分光器を用いることで発光特性を検査できるが,一度に測定できる範囲が限られる。このため,マイクロLEDの外観検査に加え,輝度,発光波長の異常も高速で検査できる装置への要求が高まっていた。
この製品は,可視光とPLによる2種類の画像から,ウエハー上のマイクロLEDの外観,輝度,発光波長の異常を高速で検査する。マイクロLEDが形成された直径約150mmのウエハーをセットし,可視光像からマイクロLEDの外観情報を取得し,その後,PLによる画像から輝度と発光波長の情報を取得し,これらを組み合わせて不良品を判定する。
今回,独自の光学設計技術により開発した光学部品を用いるとともにカメラの構成を工夫することで,ウエハー全面に形成されたマイクロLEDの輝度のみならず発光波長も,分光器を用いることなくPL像から同時に取得できるイメージングモジュールを開発した。これにより,マイクロLEDの輝度,発光波長の情報を高速に取得できる。
また,照射面に対し強さが均一で安定した光をマイクロLEDに照射しPL像を取得できるため,信頼性の高い計測結果を得ることができる。さらに,イメージングモジュールにより取得した外観,輝度,発光波長の情報を独自の画像処理技術により解析することで,マイクロLEDの異常を高速に検査できる。
これにより,マイクロLEDの研究開発の効率を高め,将来の量産ラインにおいても効率的な全数検査が可能になる。今後,より高速のマイクロLED検査装置の開発を進めるとともに,アジア地域を中心に受注獲得を図り,初年度5台/年,3年後10台/年,の販売を目指す。